リクオside ページ7
あの後、リクオはAと別れて帰っている所を自分より小さい烏天狗に見つかり、ランドセルを掴まれ空を飛んでいた。
「まったくリクオ様。帰りが遅くなって心配して来てみたからよかったものの。あの距離を歩いて帰ろうなどと…これからは嫌でも絶対にお供をつけますからね!」
正論にリクオは何も言い返すことも出来ず、烏天狗の口煩いお説教を黙って聞いていた。
「なあカラス天狗。ボクって人間なのかなぁ…?」
何の突拍子もなく聞いてくるリクオに烏天狗は一瞬、え?と言葉を漏らしたが、意味を理解すると有りの儘のことを話した。
「そりゃまぁ、お母様もおバア様も人間ですから」
「だよね!」
表情を明るくさせるリクオとは裏腹に烏天狗は言いにくそうに言葉を続けた。
「でも、総大将の血も…。当然…四分の一は入っております」
「よ…四分の一も…?」
「そうです」
改めて自分が妖怪だと、教えられた。
「ですから…もっと堂々としていればいいのです」
何も言えなかった。何も言いたくなかった。
背けたい現実がすぐ目の前にあった。一時は祖父に憧れ、三代目の代紋を譲り受けようとした自分がバカらしく感じる。
でも。
“生意気で、でも憎めない子たちでね”
あの時のAの顔が、言葉が頭の中に思い浮かんでくる。
何時もの妙に大人っぽいAの楽しそうに笑う顔が忘れられない。
長い髪が風に揺れ、見るもの全てを引き込みそうな深く黒い瞳、綺麗に笑うその姿が鮮明に思い出される。
「リクオ様?顔が赤いようですが熱でもおありで?」
心配して顔を覗き込んでくる烏天狗に、何でもない。と赤く色付く顔を背けた。
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船長 - 更新楽しみにしてますね頑張ってください (2017年8月26日 8時) (レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
船長 - 物凄い面白いです!牛鬼さんさすがです (2017年8月26日 8時) (レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
AndyJyuri(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます。一つだけ、18話で「か、神々しい」とありますが、読み方は、こうごうしいです。w (2017年6月17日 23時) (レス) id: d783bc4e9d (このIDを非表示/違反報告)
彗星(プロフ) - ありがとうございます。これからも更新できるだけ頑張っていくので、応援よろしくお願いします。 (2017年4月4日 20時) (レス) id: a61fc50fe1 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - とても良かったです。更新頑張ってください! (2017年4月4日 19時) (レス) id: 68c28fd3de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彗星 | 作成日時:2016年12月25日 14時