第二十二話 ページ28
ゆらの話はまだ続く。しかし、その内容はA自身も心得ていた。そのため、聞く必要もなかった。皆がゆらの話に集中しているなか、右から左へと話を聞き流しAはここ(リクオの家)に存在している妖気を探る。
(…たくさんいるなぁ)
妖怪屋敷。あながち間違いではない。
(妖気が近付いて来てる)
数は一つ。
「古の時代より、彼らを封じるのが我々陰陽師」
近付く妖気。
「その縁をこの地で必ず…」
「お茶入りました〜〜〜」
横から水をさすように人数分のお茶をのせたお盆を手に入ってきた一人の綺麗な女性。名を妖怪、毛娼妓。
自身の波打つ長髪を揺らしながら、自然な動作でお茶を配る。その間、皆、無言だった。ゆらはじっと見つめ、Aは綺麗な妖怪だと舌を巻いた。
そして用が終われば、ごゆっくりと言い残し颯爽と出て行く美女。
先程な静かさが嘘のように、何!?誰?と騒然となる。
リクオはリクオで、好奇心からの質問に答える暇もなく切羽詰まった様子で去った美女を追いかけるように、部屋を出て行く。
「そーいえば、お手伝いさんがいるって言ってたっけ」
カナの何気無い一言。その一言がゆらの中で何か引っかかった。神妙な面持ちでお手伝いさん…?とオウム返しのように繰り返すように呟いた。
「この家は…どうも…変ですね」
その瞬間、Aの中で嫌な予感が走った。次に見たものはゆらの後を追い、出て行く皆。その場に残るのは、静かに正座し皆の小さくなる背を眺めるAのみ。
『綺麗な妖怪だったけどな』
独り言のように呟く言葉は、これから許可もなく勝手に屋敷を探索するであろうゆらを含める清十字怪奇探偵団に聞こえることはなかった。
溜め息がひとつ。
『リクオ君とこの妖怪さんたちには迷惑かけるなぁ』
立ち上がり、追いかけようとするAの目に湯気がもくもくと上がるお茶が留まる。
(…飲んでから行こう)
Aののんびりとした思考が発動。美女に出された熱いお茶をずずっと啜る。あ、美味しいと一言。程良い苦味がちょうど良い。なんて呑気に思いつつ、もう一口啜る。
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船長 - 更新楽しみにしてますね頑張ってください (2017年8月26日 8時) (レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
船長 - 物凄い面白いです!牛鬼さんさすがです (2017年8月26日 8時) (レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
AndyJyuri(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます。一つだけ、18話で「か、神々しい」とありますが、読み方は、こうごうしいです。w (2017年6月17日 23時) (レス) id: d783bc4e9d (このIDを非表示/違反報告)
彗星(プロフ) - ありがとうございます。これからも更新できるだけ頑張っていくので、応援よろしくお願いします。 (2017年4月4日 20時) (レス) id: a61fc50fe1 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - とても良かったです。更新頑張ってください! (2017年4月4日 19時) (レス) id: 68c28fd3de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彗星 | 作成日時:2016年12月25日 14時