第二十一話 ページ27
それから清継がボロ屋敷などと失礼な発言をしたところで古ぼけた門の扉が開き、リクオが顔を見せた。
「ごめんごめん。遅くなっちゃって…」
「本当に遅いぞ奴良くん！！さっさと案内したまえ」
その態度に思わず、お前は何様だ、と言いたくなるところをグッと堪える。
門をくぐる。そこから見える断片的な屋敷。おばあちゃんたちの家もこんなだったなぁと、しみじみ思う。
「妖怪屋敷で妖怪会議だ！！」
『清継君、失礼って言葉知らないの？』
「かまわんよ」
(…会話が成り立たない)
由緒正しい花開院家の陰陽師であるゆらもいるせいか気合いが入りすぎている清継。注意するも聞く耳を持たない。
初めて訪問するリクオの家。見るもの全てに興味を惹かれる。
『あれ？』
(…何かいる)
足を止め、辺りを見渡す。肌に突き刺さるように感じる周囲からの視線。それは私だけだろうかと、皆の様子を伺うも特に気にした風には見えなかった。ギュッと背負う刀袋の紐を強く握る。
暫く、その場から動かなかったAに気付いた清継が急かすように声をかける。
「なにしてるんだい置いて行くよ！一之瀬さん」
今行く、そう答えてAは気になる素振りを見せつつも早足にその場から背を向け、少し前にいる清継たちの背を追いかけた。
案内された広い広い部屋。Aを含め清十字怪奇団は六人。あまりにも広過ぎる。用意された座布団に腰を下ろす。勿論、背中に背負った刀袋も自分の横に置いて。
ービュウウゥゥ
こう言っては何だが老朽化か風が吹くたび、ガタガタと障子が音を立てる。それが、主にカナや島の恐怖心を強めた。
「いい雰囲気。それじゃ始めよう。今日は花開院さんに…プロの陰陽師の妖怪レクチャーを受けたいと思います」
ゆらは何故私が？と言いたげな顔で戸惑いつつ、口を開いた。まず話すのは、この前の人形のことだった。あれは“付喪神”というらしい。器物百年を経て化して精霊を得て、より人の心を誑かす。付喪神は打ち捨てられた器物が変化した妖怪。
ーユルサナイ
(…捨てられて怒っていたんだ。だからあんなに…)
仕方ないのかもしれない。人は常に新しいものを求めている。愛着を持っていても古くなったものは捨てられる。きっと、この人形だって。
(…だとしても、悲しいな)
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船長 - 更新楽しみにしてますね頑張ってください (2017年8月26日 8時) (
レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
船長 - 物凄い面白いです！牛鬼さんさすがです (2017年8月26日 8時) (レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
AndyJyuri(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます。一つだけ、18話で「か、神々しい」とありますが、読み方は、こうごうしいです。w (2017年6月17日 23時) (レス) id: d783bc4e9d (このIDを非表示/違反報告)
彗星(プロフ) - ありがとうございます。これからも更新できるだけ頑張っていくので、応援よろしくお願いします。 (2017年4月4日 20時) (レス) id: a61fc50fe1 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - とても良かったです。更新頑張ってください！ (2017年4月4日 19時) (レス) id: 68c28fd3de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彗星 | 作成日時：2016年12月25日 14時
