第十九話 ページ25
『自分の身は自分で守らないと。迷惑かけるわけには…でも、今更返したら失礼というか……』
葛藤するAの右手には可愛いともいえなくもないうさぎが刺繍された白地の御守り。背中には愛刀の十六夜が入った刀袋を背負っている。
日曜日、つまり今日、清十字怪奇探偵団の活動があるらしい。リクオからその連絡を受けた。もちろんAの身を心配していたことは切羽詰まった声と安堵した様子が電話ごしで分かった。
ーー嬉しかった。
胸あたりがじーんとほっこりする。そういった感情を向けられる事自体が苦手なAは少し戸惑ったが。
そして今、集合場所であるリクオの自宅へと足を進めていた。
歩く道中、ふとAの目にこの御守りに留まる。
一見、普通の御守り。しかし、コレは危害を加えてくる妖怪や敵意を抱く妖怪が特定の範囲に入ると自動的に探知し結界が発動するという代物だ。
ーこんな大層なもの私が貰っても良いの?
ーええんよ。私特製の御守り。Aが初めてなんやで。ありがたく貰っとき。……上手く発動するか分からんけど。
ー……………。
ーだ、大丈夫や、きっと…。
ー……………。
ー…それになぁ。Aが持っとかんと意味ないんよ。
(不安しかなかったなぁ)
私で試されているのだろうかとAは一瞬思った。
そんなゆらの言葉にはまだ続きがあった。
ー気いつけてなA。あんた今のままやと危ないで。あんまり妖怪に関わらん方がええ。
ゆらの忠告する声は真剣だった。何故そこまでしてくれるのだろうか。Aは疑問を抱いたが、ゆらなりの不器用な優しさだろうと考えることをやめた。
それにゆらは関わるなとは言ってはいない。関わらない方が良い。そう言っていた。言い訳っぽいが。
(…大丈夫。私には十六夜がある)
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船長 - 更新楽しみにしてますね頑張ってください (2017年8月26日 8時) (レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
船長 - 物凄い面白いです!牛鬼さんさすがです (2017年8月26日 8時) (レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
AndyJyuri(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます。一つだけ、18話で「か、神々しい」とありますが、読み方は、こうごうしいです。w (2017年6月17日 23時) (レス) id: d783bc4e9d (このIDを非表示/違反報告)
彗星(プロフ) - ありがとうございます。これからも更新できるだけ頑張っていくので、応援よろしくお願いします。 (2017年4月4日 20時) (レス) id: a61fc50fe1 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - とても良かったです。更新頑張ってください! (2017年4月4日 19時) (レス) id: 68c28fd3de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彗星 | 作成日時:2016年12月25日 14時