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第一話 ページ3

久しぶりに夢を見た。

見たくもない、最悪な夢。





『はぁ』





Aは家族を失ってからは、唯一の肉親である祖母の家に転がり込んだ。会ったことは一度もないものの気さくな人達で、すぐに馴染むことが出来た。あることを除けば。

布団を畳み、洋服に腕を通して、ちょこんと跳ねる髪に悪戦苦闘しながらも櫛でといて、身だしなみを整える。




『おはようございます』





何時ものように挨拶を交わし、朝食を済ませ家を出て学校へ向かう。これがAの日常。





「あっ!Aちゃん!!おはよう!」


(…まただ)


バスから丁度おりて来たらしい男の子。Aはこの子、奴良リクオに何故か懐かれていた。きっかけは、知らないが良く話し掛けて来たり、たまにどこからか持って来たのか花をくれたりと意外に女子力が高かったりする。

そんな彼が嫌いと言うわけではない。




『おはよう、リクオ君』




挨拶を返せば、隣をキープしたまま色々と話し掛けてくる彼を横目に教室へと足を進めた。

彼はよく妖怪の話をしてくる。

例えば、雪女とか言う妖怪の料理は冷めているが美味しいとかなんとか。


ーー妖怪。


日本で伝承される民間信仰において、人間の理解を超える奇怪で異常な現象や或いは、それらを起こす不思議な力を持つ非科学的な存在のこと。

確か本でそんな事が書いてあった。

存在しているのか、してないのか。よく分からない存在。だが、Aはリクオ同様、妖怪の存在を信じている。

それは普段妖怪を見ているせいで。そう考えれば当然と言えば当然なのだが。

逆に、信じてない人も当然いる。きっと、信じんじてない人の割合の方がが圧倒的に多い筈。

そんな人達の中で、“家に妖怪がいる”。

なんてこと言えば、当然変な目で見られるのがオチだ。でも、本人があまりにも楽しそうなので水を差すことはしたくない。そう思ってしまうのは何故だろうか。





「?どーかしたの?」




首を傾げて、不思議そうに顔を覗くリクオに、何でもない。と答えた。




「そっか!」




リクオはまた笑った。こちらが暖かく、眩しく感じるくらいに。これは彼にしか出来ない笑みだと直感した。

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船長 - 更新楽しみにしてますね頑張ってください (2017年8月26日 8時) (レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
船長 - 物凄い面白いです!牛鬼さんさすがです (2017年8月26日 8時) (レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
AndyJyuri(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます。一つだけ、18話で「か、神々しい」とありますが、読み方は、こうごうしいです。w (2017年6月17日 23時) (レス) id: d783bc4e9d (このIDを非表示/違反報告)
彗星(プロフ) - ありがとうございます。これからも更新できるだけ頑張っていくので、応援よろしくお願いします。 (2017年4月4日 20時) (レス) id: a61fc50fe1 (このIDを非表示/違反報告)
- とても良かったです。更新頑張ってください! (2017年4月4日 19時) (レス) id: 68c28fd3de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彗星 | 作成日時:2016年12月25日 14時

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