第十五話 ページ20
そこは、美術館でも開けるんじゃないかと思うほど、古い資料や芸術の作品、骨董品が多く展示されている。
(流石、金持ち)
やはり、庶民とは比べものにならないと思った瞬間だった。その持ち主とも言える清継が今日のメインとも言える例の人形のお披露目された。
「この…日本人形なんだけどね…」
そこには薄汚れた着物を着たボサボサの長い黒髪の日本人形があった。顔は微笑んでいて愛嬌を感じるが手入れが行き届いてないせいで逆にそれが不気味に思わせた。
「うわっ…なんか…いかにもな…」
「ほ、本当に…呪いの人形なん…？」
「信憑性は高いと思う。一緒に持ち主の日記が残ってるんだ」
(ーー妖怪)
今の所、この呪いの人形から邪気を感じないものの、Aは何か嫌な感じを覚えた。
「読んでみよう」
清継は手に日記らしい手帳を持って、それを朗読していく。
「２月２２日。引っ越しまであと７日。これを機に祖母からもらった日本人形を捨てることにした。といってもーーー」
清継は日記を朗読して、カナ達は読まれていく日記に聞き入って、人形の変化に気付いていなかった。
(日記に反応しているのかしら？)
人形は赤黒い血の涙を流し、手を伸ばしている。まるで、誰かに助けを求めるように。
ーー悲しい
ーー寂しい
ーー忘れないで
ーー捨てないで
ーーずっと傍に
人形から伝わってくる負の感情、そして悲哀を含んだ言葉が流れ込み感傷し易いAの胸を締め付け、感情を支配した。
ーーどうして
ーーどうして？
ーー許さない
フツフツと、沸き上がる人形の怒り。
ーーゆるさい
『うっ…』
(…気持ち、悪い)
ーーユルサナイ
「A？どうしたの？大丈夫？」
あまりの人形の負の感情に耐えられず、胸を抑え、蹲るAにカナが慌てて傍に寄る。
「貴重な資料にタックルかますなーーー！！」
突然清継が叫んだ。その途端、さっきまでのことが嘘のように胸がスッと軽くなった。Aは何があったのか、周りの様子を伺うとリクオが何故か人形に抱きついていた。
(良く分からないけど、良かった)
ホッと胸を撫で下ろした。
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船長 - 更新楽しみにしてますね頑張ってください (2017年8月26日 8時) (
レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
船長 - 物凄い面白いです！牛鬼さんさすがです (2017年8月26日 8時) (レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)
AndyJyuri(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます。一つだけ、18話で「か、神々しい」とありますが、読み方は、こうごうしいです。w (2017年6月17日 23時) (レス) id: d783bc4e9d (このIDを非表示/違反報告)
彗星(プロフ) - ありがとうございます。これからも更新できるだけ頑張っていくので、応援よろしくお願いします。 (2017年4月4日 20時) (レス) id: a61fc50fe1 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - とても良かったです。更新頑張ってください！ (2017年4月4日 19時) (レス) id: 68c28fd3de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彗星 | 作成日時：2016年12月25日 14時
