story64. ページ17
「なんで…そっちを選んだっ…フローラ!!」
「あっ…ジョーカーさん!!」
カムイ様の制止も聞かず、ジョーカーは私が消えた場所へと駆ける。
膝をつけば、重い雪の音がする。
片手で雪を搔きあげて、ゆっくり…指を開いた。
その指の間から、今のこの場のように静かに…悲しく雪は落ちてゆく。
それを拾うこともせず、ジョーカーは残った雪を握りしめる。
「姉さん、嘘でしょう…?どこかに隠れているんでしょう…?ねぇ、出て来てください!!お願いですからっ!!!」
フェリシアは座り尽くしたまま、ただ上を向いて叫び続けていた。
信じられない…いや、信じたくないのか。
姉の死を。
…やはりまだまだ甘い。
あの子は昔からずっと、周りのことよりも目の前のことに囚われる。
「…許しません…ガロン王」
そしてカムイ様は、その一言を重く呟いた。
同じように、私のいた大地を見つめて。
そして上を向いて。
その目には強い復讐の光が宿っていた。
…ほら。何が正義だ。平和だ。
大切な人を失えば、人は狂う。
平和は簡単に崩れる。
戦に…正義なんてあるはずがない。
カムイ様の言うことは全て……綺麗事。
それでも。
「…カムイ。今までお前を守り、悩み、苦しんで来た…彼女の想いを汲み取ってやろう」
「私たちも全力で協力する」
それについてゆく人がいる。
「僕だってあんたに負けないくらい強い。負担をかけたって平気だ。だから…」
「…姉様、私はっ…何もできないかもしれません。それでも、姉様の心の支えにはなれます…!」
支えてくれる人がいる。
「…カムイ。そうよ、止まってはいけない。私たちはこの道を途切れさせるわけにはいかないわ」
背中を押してくれる人がいる。
「…はい!」
…これが、一国を従える将。
私がお世話をしていた、あんなに小さくて可憐な少女の7年後。
ーーー
しばらくして、カムイ様たちは兵の回復を終えてから部族を後にした。
「……」
皆は、私が死んだと思っただろう。
でも…それは違う。
「…フローラ様。手はずは整っています」
「ええ…ありがとう」
此度の戦に、部族の全勢力はかけていない。
七割の兵力で、カムイ様を迎え撃った。
だから敗北した。
もちろん…私だって力を出し切っていない。
「行きましょう。ここからが…幕開けよ」
目に焼き付けたあの人たちの顔を思い起こしながら、私は進軍する。
- 金 運: ★☆☆☆☆
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すぃふる(プロフ) - のり☆もちさん» ありがとうございます!というか私シリアスしか書けないやっぱ… (2017年1月4日 1時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
のり☆もち(プロフ) - すぃふるさん» ほんと切ない。けどシリアス大好物の私にとってはめちゃめちゃ美味しい展開ですw 更新頑張って下さい! (2017年1月3日 23時) (レス) id: 53609598f6 (このIDを非表示/違反報告)
すぃふる(プロフ) - のり☆もちさん» 私も幸せにしてあげたい…。だけど今の売りは「切ない」なんだ。我慢してね〜フローラ?「…凍てつきなさい、作者!」 (2017年1月3日 23時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
のり☆もち(プロフ) - すぃふるさん» 切ない…ジョフロ…切ない…流石です、ただただ切ない…。 (2017年1月3日 22時) (レス) id: 53609598f6 (このIDを非表示/違反報告)
すぃふる(プロフ) - あっぷるぱい猫系女子さん» ほんとやっとですよー。さて、フローラはこの後悔をどうするのでしょうか? (2017年1月3日 21時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年11月22日 15時