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そんな皆に気付いていない一也は、はやく話せ、と目で訴えてくる。
まあいいかと思い、鉄さんとの出会いを話す。
「私、昔から体が弱くて入院してたの」
話し始めると、集まる皆の視線。
「中学3年生の春、」
俯いていく、一也の顔。
「その日は春になって、初めての暖かい日だった」
雲一つない快晴で、病室にいるのが勿体ないくらいで。
「看護師さんに言って、外に出ようと階段を下りていたの」
「急に悲鳴が聞こえて、後ろを振り向くと小学校低学年くらいの男の子が落ちて来てた」
「私は咄嗟の事に、助けようと手を伸ばして男の子を抱えたけど、」
「受け止めきれなくて一緒に落ちてしまって、私は男の子の下敷きになったの」
そう言った瞬間、皆の顔が心配に歪む。
「男の子は無事だったけど、私は少し打ち所が悪かったみたいで少しの間、意識が無かった」
「目を覚まして、側にいたのは鉄心さんだった」
今度は皆の顔が驚きに変わる。
「私が意識を失ったときに看護師さんに状況を話してくれたのも、私をベッドに連れて行ってくれたのも、鉄心さんだったみたい」
「そのとき、近くに居たみたいで一部始終を全て見ていたって言ってた」
「看護師さんに、私が起きたら知らせて欲しいって言われたんだって」
「それから看護師さんを呼んで軽い検査を受けて、鉄心さんにお礼を言ったら
もう少し自分の身体を大切にしろって言って帰って行ったの」
「これが初めて鉄心さんと会った日の事だよ」
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翠(プロフ) - 七さん» 返信遅れてすみません。コメント貰えると思っていなかったので、とても嬉しいです。ありがとうございます! (2016年11月17日 0時) (レス) id: d78a1e3ca6 (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - 花菜さん» 返信が遅れてすみません!とても励ましになっています。ありがとうございます! (2016年11月17日 0時) (レス) id: d78a1e3ca6 (このIDを非表示/違反報告)
七 - 頑張ってください (2016年9月17日 13時) (レス) id: 9b16ccdc70 (このIDを非表示/違反報告)
花菜 - 更新頑張って下さい! (2016年9月1日 17時) (レス) id: 68b5ec4d73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:璻 | 作成日時:2016年2月14日 1時