【歌い手】学園メモリアル②【smus】 (ページ2)

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せーので練習を再開するつもりだったのにそれを止められてしまった。

「『右足』を二人が出したら盛大に転けるだろ。だから、ここは足が繋がってる方を出そう。歩幅は俺が合わせる」
「……」
「なんだよ、」
「そ、そうだよね！分かりにくい言い方でごめん。ありがとう」

──なんだよ。
思っていたより指示が的確でわかりやすいじゃん！
もっと人間付き合いが悪い奴なんだと思ってたよ！！──

確かにうらたぬきとAが同時に右足を出していれば盛大に転ぶ未来が見えていただろう。そういう所に頭が回るうらたぬきはナチュラルにモテると思う。いや、実際モテると思うが。

相手をころばせたくないという紳士な心が、ヤンキー姿の今、二割増でかっこよく見える。いや、とてもかっこいい。

Aがポケーっとうらたぬきを見つめる。その視線がうらたぬきには居心地が悪かった。

──え、なに。もしかして失敗したーー？？
このヤンキーって、頭悪かった設定なのか！？
だとしたら、今の発言変か……？──

ヤンキーをバカにしているうらたぬき。
流石に分かるだろう。

「じゃあ、行くよ。せーのっ」

Aの掛け声で一斉に足を踏み出す。しかし、女子と男子の一歩の差なんて違うのが当たり前で、そもそも横並びで歩いたことのない二人がお互いの歩幅を把握していることなどなかった。

「うわっ！」

歩幅の大きいうらたぬきの方へ重心が傾きその場で倒れる。なんとか両手を地面に着くことが出来たが、「いてて……」と目を開けるとうらたぬきが仰向けでAを見ていた。

つまり、簡単にいえば、Aがうらたぬきを押し倒しているような状況になっていたのだ。

「ご、ごめんね……！！」

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