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気持ちを切り替えるように私は再びクローゼットへと向き合った。

服は困らないほどある。が、ありすぎて目を通すのも一苦労だ。
いつもならメイドがある程度厳選して服を持ってくる。

それを良いか悪いかで判断するだけの単純作業だが1人で選ぶとなると結構時間がかかるものだった。

A
(面倒ね……。やっぱり1人くらいつけておいても良かったかしら。)

そらる
「これがいいんじゃない？」

A
「え。」

そらる
「？」

スっと後ろから手が伸びてきて、低い声が上から落ちてくる。

その声の方を見てみれば、もう1人の私の専属執事が立っていた。

A
「ちょ、ちょ、ちょ、そらる！？一体何処から湧いて出てきたのよ……！」

そらる
「普通に窓からだけど。」

A
「ドアから入ってきなさいよ……っ！！」

そらる
「このブルーのブラウスとホワイトのタイトスカートの組み合わせ、結構いいと思うけど？」

A
「話を聞きなさい……！バカ……っ！！」

チリンチリンチリンチリン────……！！！！

咄嗟にテーブルの上に置かれた金色のベルを思いっきり鳴らす。

そらる
「うるさ……。」

A
(うるさ……。じゃないわよ！！
　あなた、執事じゃなかったら不法侵入として訴えられるわよ！？)

ベルを鳴らしたあと直ぐに、足音が聞こえてきた。

センラが居たであろう大広間からここまで階段を使って3分は余裕でかかるはずなのに、一体どういう原理なのだろうか。

バン────……！！！！