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下手くそな言い訳と思い通りにいかない心情にイライラしながら、二人を横目に家に入る。
(…………、)
「可愛くないの、」
暗い玄関で呟いた声は、枯れてお世辞でも可愛いとは言えない。
ずっと前から好きだったのに。
恋は理不尽で時間より想いが大事らしい。
一方的な恋心にハッピーエンドは迎えずに、きっと儚く散っていくのだろう。
「……馬鹿みたい」
その前に少しでも、あのバカが気づきますように。
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「……ごめん、」
「あ!いや!全然大丈夫!」
確かに彼女と話すのは久しぶりだったが、それを邪魔されたからと言って恨んでなんかはいない。
……。
…多少はあるけど。
クラスメイトのよき理解者であるカノジョに相談をしていたのだが、どうやらタイミングが悪かったらしい。
「顔に出てるよ、天月くん」
「あー。うん。ごめん」
「うわっ、そのあからさまに嫌な顔するの止めてよ!」
開き直って態度を取れば、今度は批判が来る。一体どうしろと言うのだ。
「はあ…。そんな天月くんに大事なお知らせです」
深いため息の後にカノジョは真剣な表情で語り出す。
「……彼女、きっともう好きだと思うよ」
『君のことが』
そう告げるカノジョは大人びたような吹っ切れたような、爽やかな顔をしていたのを、未だに覚えている。
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恋って複雑だよね。
でも、好きなのはアナタで。
好きになったのはアナタだから。
恋って単純だよね。
@お姫様 かしくんに恋する彼女 +α→←@学パロ 天月に恋した彼女
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