【歌い手】恋する彼女 vol.3【完】 (ページ32)

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「だろ？でもこの子、俺のだから」
「え、」

二人の声が重なる。

一つはA。
もう一つは金髪の男性、センラのものだった。

勝ち誇ったような顔でセンラの横を通り過ぎる。

「あ、あの？さっきの言葉は…？」

お得意の女性を落とす言葉なのだろうか？
そうならば、彼はこの職業に向いていると思う。

「？本当のこと言っただけだよ」

それよりも。
そう呟いて落としていた視線を
自分の方に向けるように、彼の手が頬に触れる。

「他の男になんか気、取られてないで」
「っ！」

距離なんてなくなってしまいそうな近さ。
それだけのことに心臓と吐息が早くなる。
揺れないまっすぐな綺麗な瞳に、
スラっと三日月型に変えてしまう唇。

「ねえ。誰になんと言われても、俺にするよな？」

歯が浮くような背筋に刺激のくる低い声。
店で初めて会った時とは違う
色気を含むその熱に溶かされそうになる。

「…大丈夫。優しくするよ」

変わらない声のトーンとは裏腹に
優しい手つきに、今度は緊張してしまう。

髪を撫で、流れるように頬までおりてくる手。
一瞬だけ目が合えば意味深に微笑むその顔に
魅了されたのは私の方。

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MUSIC : Peacock Epoch

前に一度出てたのを書き直しました。