〈曲パロ〉Peacock Epoch〈うらたぬき〉 ページ31
寝静まるにはまだ早い
ネオンカラーに染まる街の中。
その光の届かない地下へと続く階段を降りれば、
多くの女性を等しく愛する。
いわゆるホストが集まる場所だった。
「…見ない顔だね。こういう所は初めて?」
その場の雰囲気に
置いてけぼりの私に声をかけたのは、茶髪の男性。
男性の中では少し背の低い方だが、
それでも平均を越える彼は、
爽やかな笑顔で私の顔を覗き込む。
「あ、はい。でももう帰るので…!」
「あ。ちょっと待って!」
反射的に握られたその手によって動きが止まる。
「せっかく来てくれたんだし、
おもてなしさせてよ」
表裏のない笑顔に緊張していたAは安堵する。
夜の店、ホストと聞いてあまり良いイメージを
持っていなかった彼女にとって
うらたの笑顔は効果抜群のようだ。
「なら、少しだけ…」
Aのその一言で、少し息を整える。
柄にもなく一人の女性に
一目惚れをしてしまったうらたは、
この機会を逃しては
もう会えないことがわかっていたからだ。
「良かった!こっち、奥に来て」
さりげなく手を引かれエスコートされるA。
こういう店は初めてで、
その上中高共に女子としか話していない
彼女にとって全てがドキドキだ。
「あ!うらたさん。可愛い子連れて来ましたねー」
両手に花。
例えるならばそんな言い回しだろうか。
テレビで出ていそうな整った顔の女性に囲まれる
金髪の彼自身も相当綺麗な顔をしている。
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