【歌い手】恋する彼女 vol.11【完】

@浮気騒動 センラ(くん)に恋する彼女 + 志麻 ページ11

彼女は元々男嫌いで社内でおれと話す時も一度嫌な表情をしてから笑顔を向けていたのをよく覚えている。

それは何もおれだけではなくて、男性社員全員に向けていた。

付き合ってからは少し丸くなったと思ったが、それでも冷たい態度が多い。それが愛情の裏返しで素直になれない彼女の事を好いていたのだが、最近、それが変わってきている。


「……ね。もう少し近づいてもいい？」
「そんなんいちいち聞かんくても、もっと寄っていいですよ？」
「……、ありがと、」


お風呂上がりの彼女が珍しく近づくその日は仕事中にでも失敗して癒しを求めているのかと思っていたが、初めから割とへらへらしてたし。そういう日なのかなと片付けていた。


「センラ、くん……。あの…、キスとかしてくれないんですか……？」


キス一つで顔が真っ赤になるほどウブな彼女が自分から強請る所から様子が可笑しいと思い始めてきた。

外に出れば『あとどのくらいで帰ってくる？』とか連絡がきて、仕事終わりにこっちから連絡すると『お疲れ様。まってるね』と可愛いスタンプ付きで返ってくる。


そう。彼女は今、絶賛デレ期である。


いやー、ホンマに可愛いなー。なんて思っていたその時は上の全てを全力でこなしそれこそ愛で倒した。

今日も彼女の甘い可愛い言葉が聞きたくて、『もう少しで帰りますよー』なんて送ってみる。

うわ、おれベタ惚れですやん。

なんて思ったまま、検索ページを開き彼女の最近の出来事はどう言った心境の変化なのかと調べてみる。


『彼女 急に優しくなる』とアバウトな検索結果で多くのリンクがヒットしてパラパラと彼女の返信が返ってくる間に読んでいく。

いくつかのリンクをみた後、情報を知った満足感よりも焦りが込み上げて社内にも関わらず「うそやろ、」と大きな独り言を零す。


どのページにも急に優しくしてくる彼女の態度は『浮気』かもしれないと載っている。


……いやいや、まて。Aはおれの事好きすぎてグッズやらCDやら全てを求めるくらいのセンラーやぞ？そんな、Aが『浮気』？……というか、更に推し変なんて……！そんなことがあって良いと思っとんのか！！


完全にブルーになった気持ちの中、メッセージを受け取りそのまま開けば先程送った返事が返ってきた。


『早く帰ってきてね』
「……おいおい、うそやろ…」

◯→←@こんぺいとう。 ※鬱表現･皮肉あり

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