【歌い手】恋する彼女 vol.6【完】

▽@お風呂上がり センラ(くん)に恋する彼女 ページ30

〈 はるか様 から リクエスト 〉


風呂上がりに何をする訳でもなくぼーっとソファーに座っていれば、首元にひんやりと冷たい何かが触れる。

「っチベた！！」
「声、きも、」

当たったペットボトルのお茶よりも冷たい声色だが表情はニコニコと微笑んでいる。

不器用というか…。
もうここまで来れば逆に器用なんだが。

「喉、乾いてんでしょ」
「ありがと」

好みの飲み物だったり、風呂上がりに喉が乾くことも、きっと理解しているのは彼女くらいで、それを理解すればするほど愛されてんなと他人行儀で思う。


「……水、落ちてんだけど」
「しゃーないやろ。今風呂上がったばっかりやぞ」

適当にガシガシとタオルで拭いていれば、はぁ、と大きいため息のあとタオル貸してと合図する。

「ドライヤーは？」
「んー、お願いするー」
「上からかよ」

口ではぶっきらぼうでも、その手は優しくリズムと力強さが丁度良くて眠くなってしまう。心地よい温度に、人の温もり。

……やばい、寝てまいそう、。


「熱くないですカー？」
「だいじょうぶですー」
「お客さん毛並みがふわふわですネー」
「そうなんすよー。だから雨の日は大変で」

そんな茶番を繰り返しながら、心地よい時間を過ごす。ウトウトと船を漕ぎ始めた頃ドライヤーの音がなり止む。

「乾いた」
「ん。以外と気持ちよかったわー。……今度からも頼もうかな」
「それって損してんじゃん」

まあ、確かに。言われてみれば損してるな。

「ならお礼いっぱいしますよ？」

振り返って彼女の手首を握りしめ、逃がさぬように少し力を入れる。

「せ、ンラ」

さっきまでの威勢のいい態度とは裏腹に、ただそれだけの行動で頬を赤く染める。


あーあ、そこが全部崩したくなる。


「大丈夫。ただのお礼やから」

眠気なんて飛んでしまった。今は目の前の彼女にしか興味が無くなってしまい、わざと、ゆっくりゆっくりと近く。

……あと、少し。

「っ！センラのばかっ！」

どこにそんな力を残していたのか知らないが、押し返された衝撃で手首を離す。すぐさま自室へと逃げ出した彼女。数秒後に声にならない声が聞こえ、俺は満足そうに笑う。

そろそろキスくらい慣れて欲しいんやけどなー。


恥ずかしがり屋の彼女には難易度高め。



未だに『甘々』と『イチャイチャ』の違いが分かりません。ちなみにセンカノちゃんは彼女たちの中でも奥手な方です。多分脳内暴れてます。

遅くなりました。
満足して頂ける内容だと幸いです！

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