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次の日、講義の内容は全く頭に入らなかった
先輩に今日聞くんだ、そう決めても
べつに緊張もしなかった
ただ、聞いてみるだけ。そう。
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バイトに行くと
仕事をこなす先輩
昨日見た笑顔とは違って
いつもの、先輩
かっこいい、先輩
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"お疲れ様でしたー"
そう言ってみんな帰っていく中、私は片付けを最後までしていた先輩を待っていた
『A、帰らないのかー?』
私の遠くで片付けをしていた先輩は
大きめの声で話しかけてきた
入口の方を片付けるために私の方にちょっと近づいて、でもちょっと離れていて
「先輩って彼女、いるんですか」
ただ、聞くだけ。
『なんで』
「・・・・・・昨日の朝、駅で見かけて」
『あぁ』
『あれは』
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『まぁ、』
『そうだよ、彼女』
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先輩は頬を赤らめた。
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「・・・お似合いでしたよ」
『・・・あ、ありがとう』
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「じゃあ、これで失礼します」
私は走った
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私、泣いてるのかな
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希望はちょっとだけ持つことにしよう
ちょっとだけ
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そう思っていたのに、結構期待してたんだな
あの人が彼女じゃないってこと
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「はは・・・」
笑いたくないのになんで笑ってるんだろう
走る速度がだんだん落ちて
人通りの少ない道にしゃがみこんだ
勝手に涙がこぼれてくる
「・・・っ」
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今までの先輩の私にしてくれたことは
後輩として、年下として
ただそれだけ
私が勝手に舞い上がってわくわくして
恋をして。
ドキドキして。
笑顔を近くで見てみたくて
知りたくて
隣に居たくて
会いたくて
好きで好きで好きで。
勝手に、失恋して。
もっと話しかった
名前を呼んでほしかった
一緒にまた、帰りたかった
もう叶わないね
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好きだった
好き、だったよ先輩
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『今行く』
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作者名:とっと子 | 作成日時:2017年10月27日 0時