二〇五試合目 ページ23
.
段々、言葉を理解し出した秀一。
まだ話せないけど、
「お昼寝するよ」
と言えば、私の足下にやって来て。
「オモチャ出すよ」
と言えば、押し入れの扉をバンバン叩く。
夏の時は言葉を理解しても、まだ大人しかったんだけど。男の子だからか、案外乱暴。
「洋一、そっくり!」
洋一に向かって、オモチャを頬にグイグイ押し付ける秀一を見て、義母がそう呟いた。
「へぇ、洋一の赤ちゃんの頃ってどんなでした?」
秀一に翻弄される洋一を眺め、問いかける。
すると義母がクスリと笑って、コーヒーを一口、口に付ける。
「立って、歩くようになるのは一歳未満でね、私がどっか行く度にピコピコついてくるのよ」
「可愛い〜!」
「すばしっこいから、怪我もよくするし、友達を怪我させるしでね。問題児。かと思えば、泣いてる友達に泥団子作ってあげるなんて優しさも見せたり…」
「へぇ、そうなんだ」
洋一を見れば、会話が聞こえていたのか頬が赤かった。チラリと目が合うと、私に背を向け秀一と夏と遊び出す。
「さ、そろそろ昼ご飯作ろ」
立ち上がり、キッチンへ向かう。
チャ−ハンでも作るかな。と、冷蔵庫を見ていると、ペタペタ足音が聞こえてくる。
見れば秀一がハイハイして、キッチンまで来ていた。
「あら秀くん、どうしたの?」
しゃがんで問いかければ、秀一は私の足を持ち立ち上がり、服を引っ張る。
あ、あ、と何やら訴えながら。
「こっちに来いと?」
「あ!」
「ママ、ご飯作らないと」
「あ゙ー!!」
「そんなに怒らなくても。秀くん、マンマ食べるでしょ?」
理解したのか、していないのか、判断出来ないが、仕方ないとでもいうように手を伸ばす。
つまり抱っこしろと言いたいのだろう。
「抱っこしながらご飯は出来ないよ、秀一くん」
そう抱き上げると、秀一は嬉しそうにキャッキャと笑う。秀一からすれば、遊んでもらっているのだろう。
この笑顔が、堪らなく可愛い。
すると、トコトコと夏がやって来て、物陰から物欲しそうにこちらをジッと見つめる。
「夏もする?高い高い」
「して」
腕を広げやってくる。すっかり成長して、重くなった夏を抱き上げた。
キャハハと笑う夏もやはり、可愛かった。
.
271人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
aaa(プロフ) - 何度もコメントしてしまい申し訳ありません。私はこの作品が一番大好きです!毎日繰り返し読ませていただいています。この作品が読めなくなるのはとても寂しいです。素敵な作品を生み出してくださって本当にありがとうございます(;_;)やっぱり残して欲しい作品です(;_;) (2018年3月18日 13時) (レス) id: 0e392a7902 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - aaaさん» コメントありがとうございます(^^)パシリシリーズから読んで頂いて有難いです!妊娠中の話も面白そうですね♪これからもよろしくお願いします!! (2018年1月28日 15時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
aaa(プロフ) - パシリシリーズから面白くて一気に読んでしましました!倉持が大好きでいつも更新楽しみにしています^_^パシリシリーズから夏ちゃんが産まれるまでの間の話とかいつか読んでみたいな、、!と思っております☆これからも更新楽しみにしています^_^ (2018年1月21日 10時) (レス) id: 0e392a7902 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - サンさん» サンさん、コメントありがとうございます!ハイキュー夢ばっか更新してすみません←頑張りますね。これからも応援よろしくお願いします(^^) (2017年11月20日 21時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
サン(プロフ) - 更新頑張ってください!応援してます!! (2017年11月19日 19時) (レス) id: d100eeddb0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年7月17日 14時