番外編:倉持洋洋一birthday ページ41
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今日は洋一の誕生日。
リビングでは夏が鼻歌混じりに、絵を書いている。
「何書いてるの?」
「野球してるパパ」
「そっくりね!上手」
テレビでは洋一が所属するスワローズの試合が行われている。夏はテレビを見ては洋一を観察し、クレヨンを走らせる。
一見、テレビの向こうの洋一を見て絵を書いているようだが、子どもの画力だ。見たままは書けない。だが、それはそれで愛らしかった。
「ねぇ、ママ。これパパに渡すから、パパが帰ってくるまで起きてていい?」
「今日だけ、特別よ」
「やったぁ!お誕生日おめでとうって、パパにあげるの」
起きてられるかな?
ふふっと笑って夏の頭を撫でていると、秀一が僕を構え!とでも言うように泣き出した。
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「パパだよ…」
むにゃむにゃ寝言を言って、秀一と一緒に横になって眠る夏を見て私は顔を綻ばせる。
時刻は既に十時を回っていて、幼稚園児の夏はとっくに寝ている時間でもあった。
「あ〜、あ〜」
ころんと寝返りを打った秀一が、夏の服や腕を引っ張る。相手にしてもらえないのが不満なのか、更に髪の毛に手を伸ばそうとしていたので、小さな手を掴み夏から離す。
「ダメダメ、お姉ちゃん泣いちゃうから」
「あぶっ」
「遊びたいのね。ママと遊びましょう」
和室で眠る夏に毛布を被せ、ちょっと離れたところで秀一と遊ぶ。と言っても、オモチャを持たせてやり、あちこちに投げ飛ばすオモチャを拾ったり、見ろ見ろとアピールする息子を見守るだけだけど。
「ただいま〜」
「あ、パパだよ」
きょとんとした表情を浮かべる秀一。夏はと言うと、ぐふふと笑って起きる様子はない。
秀一と二人、洋一のお迎えに行った。息子を見るなり、ニッと笑ってマシュマロみたいに柔らかい手を握る。
「秀一、ただいま〜」
人見知りな秀一は、数時間会わなかったパパを避けるようにプイッと顔を背け、私の肩に顔を埋めた。
「あらあら」
「みんなママ派なんだもんな。夏は?」
「寝ちゃった。今日はね、洋一の誕生日だからご馳走作ったの」
「マジ?やった」
洋一に秀一を見てもらっているうちに、ご飯の準備をする。グズグス泣いて、洋一から逃げていたけれど数分もしないうちに秀一は、パパと遊び出す。
「きゃっきゃ」
「ほら、高い高〜い」
秀一の笑い声が部屋を包む中、
「秀くん、どうしたの?」
目を擦りながら、夏が起きあがった。
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豆腐戦士(プロフ) - shinox2さん» 秀一大きくなりました(笑)ズリバイしてハイハイしてつかまり立ちして歩くようになるんですね…。そう考えると何だか寂しくなってきました。秀一の成長はゆっくり書こう(*´ω`*) (2017年4月13日 0時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - やだ〜♪秀ちゃん大きくなったのね〜って、親戚のおばちゃん気分でした。これからズリバイとか始めると可愛いですよ。うちの子はなぜか前進せず後退してました。えりさん同様懐かしいです(^-^) (2017年4月11日 17時) (レス) id: 2f52f37027 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - えりさん» えりさん、お久しぶりです( ´艸`)寝返り打てなくて怒ってる!可愛い!ってなって書きました。親戚の子の話なんですけどね(笑)私の作品でお子さんの小さい頃を思い出して頂いて嬉しいです。常に子育ての良いとこ、悪いとこと書いていこうと思ってます! (2017年4月11日 16時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
えり - 中2なった娘と口喧嘩する様になったりして疲れた時豆腐戦士さんの夏ちゃんや秀くんみてて小さい時思い出させてもらってますょ。ありがとうって伝えたくて…。 (2017年4月10日 21時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)
えり - お久しぶりです☆* 夏ちゃんすっかりお姉ちゃんなって…( ; ; )←どこのオバちゃんやw 娘も寝返り壁際で動けんなってブゥブゥ怒ってました(笑)懐かしいです。 (2017年4月10日 21時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年12月10日 14時