一五五試合目 ページ16
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「ただいま」
洋一の声がして私は顔を上げた。テーブルのセッティングをそこそこに玄関に向かう。玄関には「さみ〜」と言いながらコートの襟に顔を埋める洋一の姿と、靴を脱ぐ御幸君の姿があった。
「おかえり。洋一、寒いならマフラー巻いてけば良かったのに」
「もう4月だろ」
「でも夜は冷え込むし」
言いながら私は二人の手からケーキを受け取る。ありがとうと労って、私はキッチンへ。二人は仲良く?洗面所に向かっていく。
洋一と御幸君が戻ってきた頃には料理が全て並べられた状態だった。みんな座って二人を待つ。夏は早く食べたいようで、脚をピョコピョコ振りながら「早く〜」と強請った。
「うん。あれ、秀一は?」
ご飯中、秀一の面倒を見るのは洋一の役目。夏がムスっとして「亮にいのとこ」と指差す。どうやら大好きな亮介さんを秀一に盗られてへそを曲げているらしい。
人見知りな秀一は亮介さんにはべったりで、ガラガラを振っては「あ、あ、」と亮介さんに存在をアピールしている。
「亮さんありがとうございます。ほら秀一おいで」
いつもはパパの方に腕を伸ばす秀一も、無視。亮介さんの服をギューッと握る。
「ほらお前抱っこしてちゃ、亮さん食えないから」
「う゛〜!」
知るか!と唸る秀一。亮介さんが「俺のがいいよね」と言うと最近笑うようになった秀一がニパと満面の笑みを浮かべる。
「だって、倉持。ごめんね」
「亮介は凄いな」
亮介さんの隣で結城さんが感心する。結城さんに対しては何故かまだ怖がっている秀一。
「でしょ。夏も俺には一番に懐いたからね」
「秀一も亮さんに懐いてると?」
「うん。倉持パパより」
ここで黙っていないのが洋一。パンパンと2度手を叩くと腕を広げる。
「ほら、パパのとこにおいで」
「…」
「真剣な顔でガラガラ振ってもパパは誤魔化せないぞ」
「あ、あ、」
ガラガラガラガラ
「そ、そんなに可愛く笑っても無意味だかんな」
洋一、秀一の可愛さに少し怯む。
このままでは埒があかないと判断した私は立ち上がり、亮介さんの脇に立ちパンパンと手を叩く。すると音に反応して秀一がこちらを振り向いた。
「秀一、ママのとこにおいで」
「あっ」
小さな手を伸ばす秀一。と、私の足下で洋一が項垂れる。
「結局Aかよ」
「秀一、ママもパパも好きよね?」
そう鼻を擦り合わせると、秀一は嬉しそうにキャッキャッと笑った。
我が子の笑顔を前に洋一はツンツンと頬を触り言った。
「俺は秀一の事勝手に好きでいるし」
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豆腐戦士(プロフ) - shinox2さん» 秀一大きくなりました(笑)ズリバイしてハイハイしてつかまり立ちして歩くようになるんですね…。そう考えると何だか寂しくなってきました。秀一の成長はゆっくり書こう(*´ω`*) (2017年4月13日 0時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - やだ〜♪秀ちゃん大きくなったのね〜って、親戚のおばちゃん気分でした。これからズリバイとか始めると可愛いですよ。うちの子はなぜか前進せず後退してました。えりさん同様懐かしいです(^-^) (2017年4月11日 17時) (レス) id: 2f52f37027 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - えりさん» えりさん、お久しぶりです( ´艸`)寝返り打てなくて怒ってる!可愛い!ってなって書きました。親戚の子の話なんですけどね(笑)私の作品でお子さんの小さい頃を思い出して頂いて嬉しいです。常に子育ての良いとこ、悪いとこと書いていこうと思ってます! (2017年4月11日 16時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
えり - 中2なった娘と口喧嘩する様になったりして疲れた時豆腐戦士さんの夏ちゃんや秀くんみてて小さい時思い出させてもらってますょ。ありがとうって伝えたくて…。 (2017年4月10日 21時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)
えり - お久しぶりです☆* 夏ちゃんすっかりお姉ちゃんなって…( ; ; )←どこのオバちゃんやw 娘も寝返り壁際で動けんなってブゥブゥ怒ってました(笑)懐かしいです。 (2017年4月10日 21時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年12月10日 14時