一五一試合目 ページ12
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今度はテレビ電話でかけてきた洋一。よしよしと慰めながら電話に出れば、またパパの声がしてキョロキョロし出す秀一。そしてパパを見つけると、私の顔を見て「あっ」と指差した。
「パパだね〜、秀一」
「秀一〜、パパだぞ」
画面のパパをペチペチ叩く秀一。洋一は嬉しそうで、「パパが分かるのか!」とニヤニヤしている。
「分かるよね?パパだもんね〜」
言いながら、夏の時にもこんな事があったなと思いを馳せる。夏の時は川端さんが顔を出して、洋一が見えなくなると夏泣き出したんだっけ。
「ただいま〜!」
夏の声がするやいやな、バタバタと足音が近付いてくる。手には近くの商店街の和菓子屋さんのお菓子が入った箱があった。
「みてみて、もらった」
「もらったじゃないでしょ?オオジイジに買って貰ったの?」
「おまんじゅう」
「本当に好きね。ありがとうは言った?」
「言った!」
ただいまと帰ってきた義祖父に「おまんじゅう買って貰ったみたいで、ありがとうございます」と頭を下げる。と、夏はテレビ電話をしている事に気づいた様で「パパ!」と声を張り上げる。
パパが大好きな夏は秀一とスマホの間に頭をやって話し出す。
「今日ねオオジイジがね、おまんじゅうかってくれた」
「良かったな、夏」
「あとねオオジイジとね、おいのりしてきた」
「どんなお祈りしてきたんだ?」
「夏が、ねえねになれますように!」
「ヒャハ、もうなってるだろ」
「あと、秀くんが夏のおにいちゃんになりますように」
「それは…」
苦笑いを浮かべ、無理という言葉を飲みこむ洋一。夏は嬉しそうにニコニコしている。
「かみちゃんにたのんだよ!」
友達かと突っ込みたくなるくらいの神様に対する慣れ慣れしさ。だが夏の愛嬌の前では冒涜するような物言いも(もちろん、本人にはそんなつもりはないけど)泡の様に消えていってしまう、むしろそれすら愛おしい。
気分屋な夏はおまんじゅう食べると洋一の前からいなくなる。そしてお姉ちゃんの頭を眺めていた秀一の前にパパの顔が洗われ、嬉しそうに何やら話し出す。
「あ〜う〜」
「秀一何言ってんだ?」
「倉持、何してるんだ?」
不意に聞こえる見知らぬ声。次の瞬間ひょっこりと結城さんが顔を現す。
「ふぎゃあぁぁぁ」
人見知り、繊細な秀一は突然現れた人物に驚き、サイレンの様に泣き出しましたとさ。
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豆腐戦士(プロフ) - shinox2さん» 秀一大きくなりました(笑)ズリバイしてハイハイしてつかまり立ちして歩くようになるんですね…。そう考えると何だか寂しくなってきました。秀一の成長はゆっくり書こう(*´ω`*) (2017年4月13日 0時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - やだ〜♪秀ちゃん大きくなったのね〜って、親戚のおばちゃん気分でした。これからズリバイとか始めると可愛いですよ。うちの子はなぜか前進せず後退してました。えりさん同様懐かしいです(^-^) (2017年4月11日 17時) (レス) id: 2f52f37027 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - えりさん» えりさん、お久しぶりです( ´艸`)寝返り打てなくて怒ってる!可愛い!ってなって書きました。親戚の子の話なんですけどね(笑)私の作品でお子さんの小さい頃を思い出して頂いて嬉しいです。常に子育ての良いとこ、悪いとこと書いていこうと思ってます! (2017年4月11日 16時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
えり - 中2なった娘と口喧嘩する様になったりして疲れた時豆腐戦士さんの夏ちゃんや秀くんみてて小さい時思い出させてもらってますょ。ありがとうって伝えたくて…。 (2017年4月10日 21時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)
えり - お久しぶりです☆* 夏ちゃんすっかりお姉ちゃんなって…( ; ; )←どこのオバちゃんやw 娘も寝返り壁際で動けんなってブゥブゥ怒ってました(笑)懐かしいです。 (2017年4月10日 21時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年12月10日 14時