一四〇試合目 ページ1
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夏が食べたがったミートローフ。完成すると、夏は嬉しそうにピョコピョコ跳ねた。
「わ〜!かず、すごい」
「すごいだろ」
テーブルに並べられたミートローフ。他にも御幸君はオムライスやサラダを作ってくれた。
思わず涙が出そうになる。秀一を抱っこして揺れながら、私は目尻を拭う。
「御幸君が居てくれてよかった〜。秀一が離れてくれないから夕飯どうしようかと思った」
「あっ!」
よくやったなお前。とでも言いたいのか、秀一が手を挙げる。
御幸君はハハっと笑って秀一の頭を撫でる。
「何か分からんが強気だなお前。本当、パパにそっくりだな」
「う〜」
また手を伸ばし御幸君のメガネを弄る秀一。
「あ、ダメよ。秀一」
「う゛〜」
「なんかかず、パパみたい」
テーブルに肘をつき夏が言う。そう言ったものの、夏はミートローフに夢中な様子で視線はミートローフに注がれる。
と、ここで黙っていないのが洋一。唇を曲げ御幸君を睨む。
「Aは俺の妻!秀一と夏は俺の子供!」
「そんなムキにならなくてもみんな知ってるわよ?」
秀一が洋一を見て「あ、」と手を伸ばす。
怒っていた洋一もそれには喜び、秀一を抱っこする。
「見たか、御幸」
「良かったな、倉持。息子が抱っこ求めてくれて嬉しいだろ?」
「何でお前は勝ってもねえのに勝ったようなオーラ放ってんだよ」
親指を下に向け威嚇する洋一。御幸君は大してダメージを受けてないようで、ハハと乾いた笑い声をあげる。
「ねー!はやくたべよー」
夏の呼びかけでみんなダイニングテーブルに腰掛ける。いつもは私が抱っこ紐をして食べるけど、今日は洋一が抱っこして食事を摂る。
ちょっと不機嫌な洋一だったけど、御幸君の料理を一口食べ目を見張る。
「うま…」
「ねぇパパ、美味しいね」
「美味しいな、夏」
「野球が無ければいつでも料理作りに来てやるよ」
「またきてね、かず」
今度は私が不満そうに唇を尖らせる。
「私だって料理出来るもん」
なにさ、と拗ねていると洋一が腰を上げチュッと額にキスをした。
「Aの料理の方が美味いって」
「やー!夏のママ!」
「ふぎぃ〜!」
叫ぶ夏、泣き出す秀一。
「みんな、ママのこと好きすぎだろ」
御幸君の言うとおり。今日も私はみんなから引っ張りだこ…。
「ママは一番俺が好きだから」
「ちがうもん!夏!」
「ママはみんなが大好きよ」
私は世界一の幸せ者だ。
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豆腐戦士(プロフ) - shinox2さん» 秀一大きくなりました(笑)ズリバイしてハイハイしてつかまり立ちして歩くようになるんですね…。そう考えると何だか寂しくなってきました。秀一の成長はゆっくり書こう(*´ω`*) (2017年4月13日 0時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - やだ〜♪秀ちゃん大きくなったのね〜って、親戚のおばちゃん気分でした。これからズリバイとか始めると可愛いですよ。うちの子はなぜか前進せず後退してました。えりさん同様懐かしいです(^-^) (2017年4月11日 17時) (レス) id: 2f52f37027 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - えりさん» えりさん、お久しぶりです( ´艸`)寝返り打てなくて怒ってる!可愛い!ってなって書きました。親戚の子の話なんですけどね(笑)私の作品でお子さんの小さい頃を思い出して頂いて嬉しいです。常に子育ての良いとこ、悪いとこと書いていこうと思ってます! (2017年4月11日 16時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
えり - 中2なった娘と口喧嘩する様になったりして疲れた時豆腐戦士さんの夏ちゃんや秀くんみてて小さい時思い出させてもらってますょ。ありがとうって伝えたくて…。 (2017年4月10日 21時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)
えり - お久しぶりです☆* 夏ちゃんすっかりお姉ちゃんなって…( ; ; )←どこのオバちゃんやw 娘も寝返り壁際で動けんなってブゥブゥ怒ってました(笑)懐かしいです。 (2017年4月10日 21時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年12月10日 14時