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最近、亮介さんに元気がない。ぼうっとする事が増えてきて、物思いにふけたりする。
心配で「大丈夫ですか?」と聞くのだけれど、「何でもない」とはぐらかされる。
何でもなさそうだから、大丈夫ですか?て聞くんだけど…。
「亮介さん、今日はカレーですよ!」
「あ、うん」
そうよね、カレーて聞いて「わ〜い」て喜ぶタイプでも性格でもないものね。
でもやっぱり元気がない。
もくもくとご飯を食べる亮介さん。美味しい、とは言ってくれたけどそれきり話そうとしない。時折、ぼうっと何やら考え事をしてるのか動かなくなったり。
しゃくしゃくとサラダを食べ、ジーと亮介さんを見ていると不意に彼が振り返る。口にサラダを運ぶのを止め、箸を置く。
「最近忙しくて、凄くお腹が減るんです。いっぱい働くといっぱい食べたくなりますよね」
「なるね」
「でも太りたくないからサラダ食べます」
「葉瑠はもう少し太った方が良いと思うけど」
「そうですか?あ、こたつでアイス食べます?」
「食べたらね」
クスリとせず、亮介さんが言った。
やっぱり、何だか元気ない。
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今日はパートで帰りが遅くなった。手袋をした手にはぁっと息を吹きかけ擦り合わせる。耳が隠れるくらい帽子を目深に被った。
鼻が冷たい。防寒の為にマスクを着ければ良かったと後悔する。
歩いて行くと亮介さんの後ろ姿を発見した。ピンク色の髪。後ろ髪がピンピン跳ねているから春市君ではない。
あと数分歩けば家に着く距離。父の会社がすぐ左手にある。
(声、かけよう)
そう思い駆け出そうとすると、会社の敷地から誰かが出て来て亮介さんに駆け寄る。
恰好から女性と分かった私は咄嗟に電柱に隠れた。
「無理だって」
亮介さんの声だった。何やら女性と揉めている。
「奥さんのことは思い出したのに、私の事は忘れちゃったんですか?」
「記憶がどうって話しじゃないから」
そう言って亮介さんは脇にコートを抱え、女性の前から立ち去る。女性が誰で何の話をしていたかは分からない。でも見ちゃいけないものだと分かって、私は足早に元来た道を戻る。
そして遠回りで家に向かった。兄と亮介さんと私で飾り付けしたイルミネーションが家を照らす。
あぁ亮介さん、帰って来てるんだな。当たり前か、さっき見たもん。
深呼吸を繰り返し、私はドアノブに手をかけた。
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豆腐戦士(プロフ) - マヒロさん» マヒロさん、コメントありがとうございます!私の駄作品を読んで頂いたそうで、大変嬉しいです(^^)御幸くんの小説については本当にお待たせします。まだ書いている作品があるので。ご理解頂けると幸いです(^^)今後ともよろしくお願い致します! (2017年8月1日 18時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
マヒロ - すごい嬉しかったです!お忙しいとは思いますが頑張ってください。楽しみにしています!(途中で切れてしまいすみません!) (2017年7月31日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
マヒロ - 長文、失礼します!ダイヤの小説全部読みました。僕のお気に入りもパシリになる小説で、御幸くんつらいなぁ…と僕まで悲しい気持ちになりました。ここにあったコメ読んだときに御幸くんの高校生の話から見れると書いてあり、御幸くんに幸せになって欲しかったので (2017年7月31日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - ココアさん» 倉持くんのプロ野球の話で主人公の性格を変えたのは、おしとやかさより母親を全面に出したいと思ったので(汗)分かりました。御幸の話では性格変えずに書きますね。ご意見ありがとうございます。今後も作品共々よろしくお願いします(*´ω`*) (2017年7月23日 22時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
ココア - もし悩まれたらこの意見を思い出していただければいいなと思います!豆腐戦士さんが連載されるのを心待ちにして待ってます!他の作品も頑張ってください!いつまでも応援していますね! (2017年7月22日 19時) (レス) id: 02b943e900 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年10月22日 15時