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(亮介視点)
ある日、仕事から帰って来るとLDKの扉から顔を覗かせる葉瑠の姿があった。
「お帰りなさい、亮介さん」
顔を赤くして消え入りそうな声を発する葉瑠。何を恥ずかしがっているのか分からず首を傾げる。
「ただいま、葉瑠」
なんかデジャヴを感じる。
鞄を脇に置いてネクタイを緩める。数メートル先にいるとは言え、いつもはスリッパをパタパタ鳴らせ出迎えてくれる葉瑠がいないとどうも寂しい。
靴を脱ぎキッチンの手前で止まる。身を屈めた葉瑠は俺を見上げてピッタリ壁にくっついている。
「あの、りょ、すけさん」
誘ってんのかな?
紅潮した頬。潤んだ瞳。上目遣い。
心臓が早打ってると知られたくなくて、俺は平然を装い表情を硬くして「なに?」と問いかける。
「笑わないでくれます?」
「何か焦がした?」
「へ?」
「焦げた匂いする」
葉瑠が後ろを振り向く。黒い髪が揺れる。きゃっと短く叫ぶと立ち上がり背後にあるコンロに寄って行く。
揺れる膝丈のスカート、水兵さんをモチーフにした紺色の襟。それはどこからどう見てもセーラー服で。カタカタ揺れ、蒸気を上げる鍋より、プスプス黒い煙を上げるフライパンより、セーラー服を着た葉瑠に目が行く。
「ふ〜、良かった。亮介さん、ちょっと焦げちゃいましたけど大丈夫です」
ホッとしたように笑う。胸元のタイを少し引っ張ると葉瑠があっと声を零した。
「この恰好で俺を待ってたの?」
長く黒い髪をそっと撫で耳にかける。葉瑠は唇をキュッと結んで頷いた。
「ねえ、これって端から見ると先生と生徒みたいじゃない」
「え?」
「いけない子だね、葉瑠は。そう言うシチュエーションが好きだなんて」
「ち、違います!亮介さんが勝手に言ってるだけじゃないですか」
葉瑠は耳まで真っ赤にさせて顔を手で覆う。そっと腰に腕を回した。
お義兄さんの幼なじみが葉瑠の制服姿が可愛いって言っていたのは頷ける。びっくりするくらい似合っているうえ、高校生でもないのにこんな恰好をさせている背徳感がまた気持ちを昂ぶらせる。
手をそっと掴んだ。ゆっくりと葉瑠が顔から手を退ける。
顎を摘まみ顔を上げさせた。俺の親指の先にあるピンクに色づいた唇。若々しいピンクの口紅がまた可愛らしい。
チュッと唇に口づけた。張りのある弾力、そしてプリンみたいに柔らかい唇を夢中に貪る。
「んっ…りょ…すけさっ…」
「葉瑠」
スカートから覗く白い脚を優しく撫でた。
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豆腐戦士(プロフ) - マヒロさん» マヒロさん、コメントありがとうございます!私の駄作品を読んで頂いたそうで、大変嬉しいです(^^)御幸くんの小説については本当にお待たせします。まだ書いている作品があるので。ご理解頂けると幸いです(^^)今後ともよろしくお願い致します! (2017年8月1日 18時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
マヒロ - すごい嬉しかったです!お忙しいとは思いますが頑張ってください。楽しみにしています!(途中で切れてしまいすみません!) (2017年7月31日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
マヒロ - 長文、失礼します!ダイヤの小説全部読みました。僕のお気に入りもパシリになる小説で、御幸くんつらいなぁ…と僕まで悲しい気持ちになりました。ここにあったコメ読んだときに御幸くんの高校生の話から見れると書いてあり、御幸くんに幸せになって欲しかったので (2017年7月31日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - ココアさん» 倉持くんのプロ野球の話で主人公の性格を変えたのは、おしとやかさより母親を全面に出したいと思ったので(汗)分かりました。御幸の話では性格変えずに書きますね。ご意見ありがとうございます。今後も作品共々よろしくお願いします(*´ω`*) (2017年7月23日 22時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
ココア - もし悩まれたらこの意見を思い出していただければいいなと思います!豆腐戦士さんが連載されるのを心待ちにして待ってます!他の作品も頑張ってください!いつまでも応援していますね! (2017年7月22日 19時) (レス) id: 02b943e900 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年10月22日 15時