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七回表の攻防は一筋縄ではいかなかった。内野守備、ゲッツー体勢。ただ、次の五番打者はバットコントロールが上手く、打った球は三遊間を抜けていく。
ツーベースヒット。ノーアウト、バッター二、三塁。
続いて六番打者。
キャッチャーは立ち上がり、敬遠。私は目を丸くする。
「六番打者をなんで敬遠するの?」
「満塁にしてフォースプレーにする為だ」
どうやら監督である兄が指示を出したらしい。タッチプレーよりフォースプレーでの方がアウトはとれやすい。
ただもし満塁ホームランが出れば4点の追加点。
1点もあげるつもりのないうちのチームに対し、ビックイニングの相手チーム。
六番打者がフォアボールで塁に出る。と、相手チームは代打を告げた。
「嘘だろ…!」
味方チームから落胆の声。兄の顔を見れば焦りの色が見える。
「元二軍選手だ。怪我で辞めたってきいたが、打つくらいには回復したんだな」
兄は起ち上がるとサインを出す。内野ホームゲッツー体勢。
亮介さんがショートの人に何やらサインを送る。ショートの人は頷くと、サードにまたサインを送った。
(なんだろう)
ピッチャーがクイックのモーションから投げた。インコース低め。打者がボールを打つ。快音が鳴る。鋭い弾丸の如く、ボールが飛んでいく。皆がボールの行く末を追った。
「ファールボール」
ベンチ内で漏れる溜息。私もホッと息をする。もしフェアグラウンド内なら2点追加点を与えていたかもしれない。
二球目。
ストレート。
相手がバットを振る。そう思った瞬間、バントの要領で構える。
「セーフティ!」
兄が叫ぶより早くサードが猛チャージをかける。そのまま右手でボールを取るとキャッチャーに向かって投げた。
「アウト!」
響く審判の声。一塁には投げるがバッターが俊足でセーフの判定になった。なおも満塁。ピンチは続く。
「サード、セーフティ読んでたみたいだな」
「本当。素晴らしい!」
と、話しているとカンと快音がなった。ハッとグラウンドを見る。
二遊間、抜けると思いきや亮介さんが横跳びしショートにグラブトス。息の合ったショートはそれをキャッチし、一塁に送球。見事ゲッツーを捕り、攻守交代。
亮介さんの頭を叩いたりして讃えて戻ってくる。
「亮介さん!」
「葉瑠、まだ安心するのは早いからね。今から点、取り返さないと」
亮介さん、格好良すぎます。
「惚れ直したか?」
兄に言われ、頷く。
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豆腐戦士(プロフ) - マヒロさん» マヒロさん、コメントありがとうございます!私の駄作品を読んで頂いたそうで、大変嬉しいです(^^)御幸くんの小説については本当にお待たせします。まだ書いている作品があるので。ご理解頂けると幸いです(^^)今後ともよろしくお願い致します! (2017年8月1日 18時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
マヒロ - すごい嬉しかったです!お忙しいとは思いますが頑張ってください。楽しみにしています!(途中で切れてしまいすみません!) (2017年7月31日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
マヒロ - 長文、失礼します!ダイヤの小説全部読みました。僕のお気に入りもパシリになる小説で、御幸くんつらいなぁ…と僕まで悲しい気持ちになりました。ここにあったコメ読んだときに御幸くんの高校生の話から見れると書いてあり、御幸くんに幸せになって欲しかったので (2017年7月31日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - ココアさん» 倉持くんのプロ野球の話で主人公の性格を変えたのは、おしとやかさより母親を全面に出したいと思ったので(汗)分かりました。御幸の話では性格変えずに書きますね。ご意見ありがとうございます。今後も作品共々よろしくお願いします(*´ω`*) (2017年7月23日 22時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
ココア - もし悩まれたらこの意見を思い出していただければいいなと思います!豆腐戦士さんが連載されるのを心待ちにして待ってます!他の作品も頑張ってください!いつまでも応援していますね! (2017年7月22日 19時) (レス) id: 02b943e900 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年10月22日 15時