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一進一退の攻防が続く七回表。相手チームの攻撃。打順はクリーンナップから。
投手、続投。１点は取られさえしたが、チームメイトのミスによる失点で相手に完全に捉えられてはいなかった。
互いの実力は均衡。一対一のまま試合は展開を見せない。こんな時に勝利を左右するのは。
チラリと兄を見た。ベンチの隅に腰かけ、脚と腕を組み真剣な眼差しでグラウンドを見ている。
(お兄ちゃん)
ピッチャーが首を振る。右手をグローブに納めボールを握るのが分かった。
ピッチャーが振りかぶる。脚を上げ、グッと踏み込んだ。
「あっ！」
誰かが叫ぶ。兄は頭を抱える。キャッチャーの構えたところから投げたボールはずれ、ど真ん中へ向かって行く。
打者がバットを振った。金属バットがボールの芯を叩く一瞬が、まるでビデオを一時停止したみたいに止まってみえた。
カキン。
快音が響く。ボールは大きな弧を描いた。外野の頭を軽々と越え、ポチャンと音を発て川の中へと沈んでいった。
わぁっと上がる歓声。ダイヤモンドを回る打者。マウンドで天を仰ぐピッチャー。
二対一。
ソロホームランと割り切ることも出来る。ただ試合後半。ボールが内に入ったとは言え、完璧に捉えられた。試合の流れを変えるには充分だった。
「監督、ピッチャー代えますか？」
「否、まだだ」
「でも…」
ピッチャーの彼は亮介さんと同い年で大学でも野球をしていた。四年間レギュラーになれず、会社に就職し働きながら草野球をしている。
体力、技術は問題がない。ただメンタルに難ありと亮介さんが言っていた。高校の同級生に似ているとも言っていた。
一抹の不安が過ぎる中、四番打者を迎える。
四球によりフォアボール。ノーアウト一塁で五番打者を迎える。
「畑田の奴、様子がおかしいですよ」
頻繁に指先にロージンをつけたり、袖で汗を拭うピッチャー。様子を察し、捕手や内野手がマウンドに集まる。
「葉瑠」
兄に呼ばれ、近付く。ボソボソと耳打ちした後、私の背を押す。
「え？」
伝言して来い、ですと？
ペコペコ頭を下げながらマウンドへ。気づいた選手達は近付いてくる私を見て目を丸くさせる。
「どうしたの葉瑠？」
亮介さんに問われ、私はあのと口を開く。
「あと２点くらい取られても大丈夫だと監督が。それと」
拳を握り直し、言葉を紡ぐ。
「ピンチを覆す奴がかっこいい…って」
みんなの顔がほころんだのを見てホッとする。私はまたペコペコ頭を下げながらマウンドを後にした。
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豆腐戦士(プロフ) - マヒロさん» マヒロさん、コメントありがとうございます！私の駄作品を読んで頂いたそうで、大変嬉しいです(^^)御幸くんの小説については本当にお待たせします。まだ書いている作品があるので。ご理解頂けると幸いです(^^)今後ともよろしくお願い致します！ (2017年8月1日 18時) (
レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
マヒロ - すごい嬉しかったです！お忙しいとは思いますが頑張ってください。楽しみにしています！(途中で切れてしまいすみません！) (2017年7月31日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
マヒロ - 長文､失礼します！ダイヤの小説全部読みました。僕のお気に入りもパシリになる小説で、御幸くんつらいなぁ…と僕まで悲しい気持ちになりました。ここにあったコメ読んだときに御幸くんの高校生の話から見れると書いてあり、御幸くんに幸せになって欲しかったので (2017年7月31日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - ココアさん» 倉持くんのプロ野球の話で主人公の性格を変えたのは、おしとやかさより母親を全面に出したいと思ったので(汗)分かりました。御幸の話では性格変えずに書きますね。ご意見ありがとうございます。今後も作品共々よろしくお願いします(*´ω`*) (2017年7月23日 22時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
ココア - もし悩まれたらこの意見を思い出していただければいいなと思います！豆腐戦士さんが連載されるのを心待ちにして待ってます！他の作品も頑張ってください！いつまでも応援していますね！ (2017年7月22日 19時) (レス) id: 02b943e900 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆腐戦士
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年10月22日 15時
