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「は?旦那?」
そんな存在知らないぞと意見を求める様に永岡さんは兄を見た。兄は溜息を吐くとイライラしたように頭を掻く。
「当たり前だろ。第一、永岡と約束したのは中学生だぞ。他よりちょっと早熟した妹と結婚したいとか口にしてて、気持ち悪ぃって思ったりしたけどまぁ先も分からない中学生だからオッケーするよな」
「お兄ちゃん最低」
「そして芹澤が欲しがった商品は松井秀喜のホームランボール」
私はホームランボール以下なのかという怒りを込めて兄を睨む。
「否だってさ、メジャーでのホームランボールなんだぜ?知ってるか?松井秀喜は甲子園常連校に毎打席敬遠されてだな、甲子園に行けなかったんだ。プロでは敬遠が減ると思ったら、確かに減ったが敬遠されるんだよ。で、松井秀喜はメジャーに行ったんだ。メジャーでは敬遠されなくて前の打者が敬遠されてホームラン、打ったんだよ」
「なんだかそんな凄い人のホームランボールと私を賭けるのって何だか申し訳なく思っちゃう」
はぁっと溜息を吐くと、永岡さんが首を振った。
「葉瑠ちゃんはホームランボールよりも価値ある女性に決まってるじゃないか。白のセーラー服に紺色のスカートから覗く艶めかしいスラリとした脚はまさに魅力的だったよ」
永岡さんの言葉に総毛立ち、亮介さんの背中に隠れる。笑顔で言う事じゃないうえ、普通本人の前で言わない。かなりの恐怖を感じていると亮介さんが優しく頭を撫でてくれた。
「俺に任せて」
「亮介さん…」
「永岡さん、ですっけ?勝負の賭けの話ですけど、別の物で勘弁してくれませんか?中学生の頃は許されても今では人生を左右する事ですし」
「何を言っている!俺は長年、この時を待ちかねていたんだぞ」
「ねぇ、葉瑠。この人日本語通じないけどどうしようね」
ちょっとイライラした様子の亮介さん。私も困って「どうしましょう」と眉尻を下げる。
「私、亮介さんと離れたくないです…」
ぽつんとそう言うと亮介さんが「勝てば問題ないでしょ」と私の肩を掴む。えっと私は顔を上げた。
「葉瑠のお兄さんを勝たせれば五十勝になるから、お兄さんの勝ち。あの変態に葉瑠を渡さないよ。渡したら四六時中セーラー服着せられそうだし」
「亮介さん…」
そんな恐ろしい事言わないで下さい…。
「絶対勝って下さい!」
念を込めて亮介さんに言う。
「俺達のチームが負ける訳ないじゃん」
亮介さん、格好良すぎます。
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豆腐戦士(プロフ) - マヒロさん» マヒロさん、コメントありがとうございます!私の駄作品を読んで頂いたそうで、大変嬉しいです(^^)御幸くんの小説については本当にお待たせします。まだ書いている作品があるので。ご理解頂けると幸いです(^^)今後ともよろしくお願い致します! (2017年8月1日 18時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
マヒロ - すごい嬉しかったです!お忙しいとは思いますが頑張ってください。楽しみにしています!(途中で切れてしまいすみません!) (2017年7月31日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
マヒロ - 長文、失礼します!ダイヤの小説全部読みました。僕のお気に入りもパシリになる小説で、御幸くんつらいなぁ…と僕まで悲しい気持ちになりました。ここにあったコメ読んだときに御幸くんの高校生の話から見れると書いてあり、御幸くんに幸せになって欲しかったので (2017年7月31日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - ココアさん» 倉持くんのプロ野球の話で主人公の性格を変えたのは、おしとやかさより母親を全面に出したいと思ったので(汗)分かりました。御幸の話では性格変えずに書きますね。ご意見ありがとうございます。今後も作品共々よろしくお願いします(*´ω`*) (2017年7月23日 22時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
ココア - もし悩まれたらこの意見を思い出していただければいいなと思います!豆腐戦士さんが連載されるのを心待ちにして待ってます!他の作品も頑張ってください!いつまでも応援していますね! (2017年7月22日 19時) (レス) id: 02b943e900 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年10月22日 15時