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ある日の事。亮介さんの所属する草野球チームの練習試合が行われる事が決まりました。
「今度の日曜日、お義兄さんの因縁の相手だって誰か知ってる?」
電話を切り、スマホを机に起きながら亮介さんが問いかける。私はあぁっと声を零すと淹れたコーヒーを差し出した。
「兄の幼なじみが監督をするチームだと思いますよ」
「仲良くないの?」
「う〜ん、端から見れば仲が良いとも言えるんですけど、お互いライバルみたいに思ってるみたいです。テストもスポーツも何でも勝負してて、何勝何敗何分けまでちゃんと覚えてるんですよ。呆れちゃいます」
「お義兄さんらしい」
ふっと笑って亮介さんはマグカップに口をつける。
「うん、このコーヒー美味しいね」
「実はこれ私がブレンドしたんです」
「葉瑠は料理も出来てコーヒーもブレンド出来るの?」
「ちょっと勉強したんです。等配合ってやり方でブレンドするのが良いらしくて、兄からいくつか豆を貰ったんで試してみました」
「へぇ、俺これ好き」
「本当ですか?」
嬉しくて目をキラキラさせる。すると亮介さんは微笑んで頭を優しく撫でてくれた。
「本当。良く出来ました」
「嬉しいです。休日は腕によりをかけてお重のお弁当作ります」
「楽しみ」
そう笑う亮介さんを見て私は何だか嬉しくなった。
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お重におかずを、亮介さんが肩から下げた保冷バックにはおにぎりを沢山入れて土手のグラウンドへ。
亮介さんは軽い足取りで階段を降り、ベンチに保冷バックを置くとすぐ戻ってきてお重を持ち手を差し出してくれた。
「あ、ありがとうございます」
「いいえ」
ベンチでは兄と幼なじみの永岡さんが居て、火花を散らしていた。どうやら勝負は既に始まっているらしい。
「芹澤!今日俺が勝ったら、五〇勝目だ」
兄を差していると分かるけど、旧姓を呼ばれ肩をビクリと震わせる。
「お互いにだろ。俺も五〇勝目だ」
少なくとも百戦はしてるのかと私は呆れる。
「俺が先に五〇勝の大台に乗れば葉瑠ちゃんをくれるんだったな!」
「へ?」
「は?」
亮介さんと私は睨むように兄を見る。当の本人は「まだそんな事言ってんのか」と呆れたように溜息を吐く。
「当たり前だろ!葉瑠ちゃんは子供の頃から可愛くて中学生になっても他の誰よりもセーラー服が似合う美少女だったんだぞ!諦めて堪るか!」
「俺という旦那がいるんだけど」
亮介さんが私を隠すように腕を広げ私の前に立った。
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豆腐戦士(プロフ) - マヒロさん» マヒロさん、コメントありがとうございます!私の駄作品を読んで頂いたそうで、大変嬉しいです(^^)御幸くんの小説については本当にお待たせします。まだ書いている作品があるので。ご理解頂けると幸いです(^^)今後ともよろしくお願い致します! (2017年8月1日 18時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
マヒロ - すごい嬉しかったです!お忙しいとは思いますが頑張ってください。楽しみにしています!(途中で切れてしまいすみません!) (2017年7月31日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
マヒロ - 長文、失礼します!ダイヤの小説全部読みました。僕のお気に入りもパシリになる小説で、御幸くんつらいなぁ…と僕まで悲しい気持ちになりました。ここにあったコメ読んだときに御幸くんの高校生の話から見れると書いてあり、御幸くんに幸せになって欲しかったので (2017年7月31日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - ココアさん» 倉持くんのプロ野球の話で主人公の性格を変えたのは、おしとやかさより母親を全面に出したいと思ったので(汗)分かりました。御幸の話では性格変えずに書きますね。ご意見ありがとうございます。今後も作品共々よろしくお願いします(*´ω`*) (2017年7月23日 22時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
ココア - もし悩まれたらこの意見を思い出していただければいいなと思います!豆腐戦士さんが連載されるのを心待ちにして待ってます!他の作品も頑張ってください!いつまでも応援していますね! (2017年7月22日 19時) (レス) id: 02b943e900 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年10月22日 15時