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「ゴホ、ゴホゴホ…」
久しぶりに風邪を引いた。体が鉛みたいに重い。体のあちこちが痛くて、気怠い上に喉が痛む。息も上手く出来ない。
「大丈夫?葉瑠ちゃん」
「すみません、お義母さん」
心配そうにお義母さんが私の顔を覗き込む。額には冷たいタオル、氷枕を敷いてくれている。
「謝らないで。お粥が良い?うどん?」
「食欲…ないですっ」
「ダメよ食べなきゃ。うどん作るから、残しても良いから少しでも食べてね」
「はい…」
春市君に電話すると心配してやって来てくれたお義母さんとお義父さん。嬉しい反面、申し訳なく感じる。
亮介さんの看病も任せてしまった。
救いだったのは、今日仕事が休みだった事だ。
恐らく、疲れが溜まっていたのだろう。仕事では怒られてばかりだったから、精神的にも肉体的にも疲れていたのかもしれない。
辛いから眠ろうと目を閉じた。その時、扉がゆっくり開く。目を開けるとお義母さんが居て、申し訳無さそうな顔の表情を浮かべている。
「お義母さん?」
「あのね…今亮ちゃんが来ててね」
「え?」
亮ちゃんってつまり亮介さん?
「でも入院してるんじゃ」
「外出許可貰ったって。無理なら良いのよ。話があるって」
「話…?」
あまり良い予感はしない。
私は現実から逃げ出したくて、布団を頭の上まで被った。
「リビングの固定電話の下の引き出しに亮介さんへって書かれた封筒があるんです」
「渡せば良いの?」
「そういう話しなら」
「そういう話しって?」
「離婚とか…」
「…」
お義母さんが息を飲んだ。どんな顔をしているのかも分からない。こんな事、お義母さんに言うなんて卑怯かもしれないが、渡そう、渡そうと思って既に2週間が過ぎた。つまり、亮介さんが記憶を無くして一ヶ月。
「亮ちゃんの事嫌い?」
お義母さんが優しく私の体を撫で問いかける。
「大好き…です…」
震える声でそう訴えた。するとお義母さんはポンポンと私の体を叩いた。
「辛かったね。大丈夫よ、私に任せて」
布団から顔を出し、お義母さんを見た。
「葉瑠ちゃんは自分の気持ちを殺す必要なんてないのよ。自分の首を絞めないで。それから今から亮ちゃんにガツンと言ってくるわ」
「ガツンと…?」
「何しに来たの!って」
思わず、笑ってしまった。お義母さんが怒っても、凄く可愛らしかった。
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豆腐戦士(プロフ) - マヒロさん» マヒロさん、コメントありがとうございます!私の駄作品を読んで頂いたそうで、大変嬉しいです(^^)御幸くんの小説については本当にお待たせします。まだ書いている作品があるので。ご理解頂けると幸いです(^^)今後ともよろしくお願い致します! (2017年8月1日 18時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
マヒロ - すごい嬉しかったです!お忙しいとは思いますが頑張ってください。楽しみにしています!(途中で切れてしまいすみません!) (2017年7月31日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
マヒロ - 長文、失礼します!ダイヤの小説全部読みました。僕のお気に入りもパシリになる小説で、御幸くんつらいなぁ…と僕まで悲しい気持ちになりました。ここにあったコメ読んだときに御幸くんの高校生の話から見れると書いてあり、御幸くんに幸せになって欲しかったので (2017年7月31日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - ココアさん» 倉持くんのプロ野球の話で主人公の性格を変えたのは、おしとやかさより母親を全面に出したいと思ったので(汗)分かりました。御幸の話では性格変えずに書きますね。ご意見ありがとうございます。今後も作品共々よろしくお願いします(*´ω`*) (2017年7月23日 22時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
ココア - もし悩まれたらこの意見を思い出していただければいいなと思います!豆腐戦士さんが連載されるのを心待ちにして待ってます!他の作品も頑張ってください!いつまでも応援していますね! (2017年7月22日 19時) (レス) id: 02b943e900 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年10月22日 15時