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病室に戻り、花の飾られた花瓶をサイドテーブルに置いた。亮介さんはチラリとだけ花を見て、本に視線を落とし言う。
「向日葵か…」
「お嫌いでした？」
「ううん。何だかタイムスリップしたような気分でさ」
無理もない。記憶は２年前の冬で止まっているのだ。記憶にある季節とは全くの逆。気温も景色も花も食べ物も、冬とは真逆のものばかり。
それだけじゃない。記憶にない女性と、つまり私と結婚していると聞かされ、記憶は混乱を来しているに決まっている。
だから亮介さんが過去に対して興味を持つまで、私からも亮介さん家族からも話そうとしない。
「そういえば、今日は春市君が来ますよ」
「母さんから聞いた。倉持も来るって」
倉持という名に私は首を傾ける。披露宴で会ったかもしれない。ただ一人一人の顔と名前を覚えられるほど、私の記憶力はよくない。
「お友達、ですか？」
「高校の時の後輩」
「もしかして同じ野球部の？」
「うん」
少しだけ、亮介さんからあまり話したくないという雰囲気を感じて口を閉じる。
彼の視線は窓の外に向けられていて、夏らしい青々とした木の葉が風で揺れる様を見つめていた。
「俺達の結婚生活って上手くいってたの？」
「え…はい」
まさかの問い。私は動揺し、亮介さんを見る。彼の視線は窓の外に向けられたままだ。
「でももし騙そうと思えば、俺のこと騙せるよね？」
「どういう…意味ですか？」
「いや、何でもない」
胸が激しく鼓動しだした。それはトキメキからなどでは決して無く、動揺や不安からだった。
口が急速に渇いていく。結婚している証拠は指輪だけ、だが私の言葉を信用して貰うには私事を信頼してもらうしかない。
直感的に何故亮介さんがそんな事を口にするのか分かった。２年前、つまり私と出会う前は恐らくまだ高校時代に付き合っていた女性を探している時のはずだ。
それは裏を返すと、亮介さんが今愛しているのは私でなく元カノの春香さんであるという事にならないだろうか。
ギュッと拳を握り、奥歯を噛み締め涙を耐えた。覚悟を決めるべきかもしれない。
「春香さんが心配ですか？」
「え…」
亮介さんが驚いた顔で私を振り返る。
「彼女の事知ってます、私」
だから
「気にしないで下さい」
時間を下さい。
「お会いしたいなら、連絡取りますから」
まだ私だって心の整理が出来て居ないんです。
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豆腐戦士(プロフ) - マヒロさん» マヒロさん、コメントありがとうございます！私の駄作品を読んで頂いたそうで、大変嬉しいです(^^)御幸くんの小説については本当にお待たせします。まだ書いている作品があるので。ご理解頂けると幸いです(^^)今後ともよろしくお願い致します！ (2017年8月1日 18時) (
レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
マヒロ - すごい嬉しかったです！お忙しいとは思いますが頑張ってください。楽しみにしています！(途中で切れてしまいすみません！) (2017年7月31日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
マヒロ - 長文､失礼します！ダイヤの小説全部読みました。僕のお気に入りもパシリになる小説で、御幸くんつらいなぁ…と僕まで悲しい気持ちになりました。ここにあったコメ読んだときに御幸くんの高校生の話から見れると書いてあり、御幸くんに幸せになって欲しかったので (2017年7月31日 22時) (レス) id: 97c48ff0e2 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - ココアさん» 倉持くんのプロ野球の話で主人公の性格を変えたのは、おしとやかさより母親を全面に出したいと思ったので(汗)分かりました。御幸の話では性格変えずに書きますね。ご意見ありがとうございます。今後も作品共々よろしくお願いします(*´ω`*) (2017年7月23日 22時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
ココア - もし悩まれたらこの意見を思い出していただければいいなと思います！豆腐戦士さんが連載されるのを心待ちにして待ってます！他の作品も頑張ってください！いつまでも応援していますね！ (2017年7月22日 19時) (レス) id: 02b943e900 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆腐戦士
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年10月22日 15時
