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千葉県某所。毎年この時期になると父方の叔父さんの居る場所を訪れ、海の家の準備をする。主に掃除で、土曜日の朝から晩まで手伝わされるのだが、高校生になった去年からはお小遣いを貰えるようになった。
恐らくもう数えるくらいしか叔父の手伝いが出来ないのだと思うと、少し悲しくも感じる。
Tシャツにハーフパンツの恰好でサンダルを履き、叔父が出て来るのを待つ。
朝一番から海の家に赴き早速掃除をする算段なのだが、叔父は中々出て来ない。
「ねぇ、お父さん。叔父さん、相変わらずだね」
相変わらずマイペース。
「誰に似たんだろうな」
そう父が笑うが、父もマイペースだ。それ以上に母がマイペースだからか自覚が無かった。
「ごめん、ごめん」
と謝りながら叔父がやって来る。鍵を開けて、車に入ると隠った熱気が私を襲う。
「うっ」と唸りながら後部座席に乗りシートベルトを締める。
助手席には父、運転席には叔父が座ってエンジンとエアコンをかけた。
「Aは毎年その髪型だけど、飽きないのか?」
発車させる前に叔父がバックミラーを一度見てから言う。
私はすっかり短くなった髪を手櫛でとく。
「この時期だけだよ。長いと邪魔だし」
いつも必ず海の家の手伝いの前には髪をバッサリと切る。叔父の記憶ではショートヘアの私の印象が強いのだろう。
アクセルが踏まれ、車が発進する。暫く沈黙が続いたが、父が叔父に「最近どうなの?」と曖昧な質問をなげかけた。
「どうって。まぁ奥さんも居て子供も出来て幸せだよ」
父と叔父は一回り年が離れている。父は今年で38歳。叔父は26歳。一昨年結婚して今年子供が生まれた。女の子で名前は万智ちゃん。まだ首も座っていないけど、プニプニほっぺが可愛らしい。
「そう言う兄さんは?」
「そうだな…いつかAが嫁に行く事を考えると辛いな」
「はは、もしかして彼氏が居るの?」
叔父の指摘にドキリとする。サイドミラー越しに父の顔を見ると、少し困ったような表情をしていた。
「居ないよ。今は興味ないもん」
「義姉さんに似て綺麗な顔なのに。勿体ない」
「私は沢山の人と付き合うより、運命の人と巡り会いたいの」
「それなら尚更デートしないと」
「デート?誰と?」
「男性と」
「何かそれって遊んでるみたい」
「違うよ。合コンで出会って、お互いの事を知るために何度かデートをするんだよ。キスやホテルに行ったりはしない純粋なデートさ」
色んな恋愛の始まり方があるんだよ。と叔父は言った
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豆腐戦士(プロフ) - 優莓瑠さん» 優莓瑠さん>>コメントありがとうございます!そしてお褒めの言葉ありがとうございます!嬉しいです(*´ー`*)あとレスの仕方も教えて頂いて。ありがとうございます。これからもよろしくお願い致します! (2016年5月27日 16時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
優莓瑠(プロフ) - 今までの中で一番面白いです!!更新まじで待ってますね!! あ!あと。コメントの返し方は相手のレスって所を押したら相手に通知がいきますよ! (2016年5月26日 22時) (レス) id: 27c955657d (このIDを非表示/違反報告)
豆腐戦士(プロフ) - ゼシカさん〉〉コメントありがとうございます!榊原さん怖いですね…。本当はこんな子になるはずじゃ(;・д・)これからもよろしくお願いします。 (2016年5月25日 19時) (レス) id: 74fa4ef45e (このIDを非表示/違反報告)
ゼシカ(プロフ) - 榊原ちゃん怖ぇ…いや、恋する乙女が怖いのか…?笑恋は盲目、って言いますからね…さてさて何を言い出してくるんですかね笑 (2016年5月25日 17時) (レス) id: 0929c9d91e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年5月21日 22時