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chapter05.焼き肉 ページ23

A




準備をして、私達三人は焼き肉店へ。鳴がメニュー表を広げている間にお姉さんはスラスラとサラダを注文する。凄い量だなと感心している間に、今度は鳴が注文する。

「タン塩、カルビ、ロース、ハラミとりあえず五人前ずつ!あとご飯大盛り」

「量凄い…」

「ちょっと多い!とりあえず三人前」

「じゃあ間とって四!」

「う〜ん…分かった。四ね」

「Aは何頼む?」

突如、鳴に振られ戸惑う。チラリとメニューを見て「鶏モモ、下さい」とだけ告げた。

「遠慮しなくていいのよ?」

「あ、遠慮とかじゃなくて、お肉で一番鶏が好きなんです」

「え、何それ!俺より?俺より好きなの?」

「鶏と自分を比べるってどうなの?Aちゃん困っちゃうから」

「道端で這ってる蟻にだって妬ける自信あるけど、そういうものじゃないの?」

「鳴、重い!」

お姉さんにきっぱり言われて、落ち込む鳴。

「私はそんな事ないよ」

「Aちゃん優しい」

鳴に恋人が出来た祝いだ!とお姉さんは笑って、ビールとソフトドリンクで乾杯する。お姉さんは美味しそうにビールを喉に流すと、プハッと息を吐いてビールジョッキを置いた。

「でも鳴って私達が甘やかしたせいか、ワガママだから。だからって全部聞く必要はないからね。何かあったら私にでも妹にでも言ってね」

「はい。ありがとうございます」

「鳴、私もう一人妹が欲しい」

「五年後には一人増えてるよ」

二人の会話が分からず私は首を傾げる。と、丁度お肉が運ばれてくる。私はトングを取り、熱い鉄板の上に並べた。

「五年後に鳴のお父さんとお母さんは妹が生まれるの?」

そう聞くと、お姉さんが飲んでいたビールを噴き出しそうになった。鳴はあんぐりと口を開ける。

「え?」

何か変な事言ったかな?

「両親が五年後に夜の営み想像してるとかウケる」

アルコールのせいか、ケラケラ大笑いするお姉さん。それに対して、鳴はぶすっとした顔をして私を見る。

「…何で怒ってるの?」

「ねえ、A」

「うん?」

「姉さんに義理の妹が出来る時ってどんな時?」

「両親の再婚?」

「他には?」

「…鳴が結婚した時?」

そう言うと鳴は嬉しそうに笑って、私の手を握った。

「今から姉さんの願い叶えちゃう?」

「え?」

「つまり俺達はこれから婚姻届を出すってこと」

嬉しそうに笑う鳴。私は目まぐるしく変わっていく状況に対応出来ず、目を瞬かせ幸せそうに笑う鳴をただただ見つめた。

焦げた匂いが鼻をつく。


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作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年11月19日 17時

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