検索窓
今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:45,259 hit

3-4 ページ13

A




「あ…」

「三浦さ〜ん」

前方に成宮君が手を振る姿が目に入る。隣の悠来が辺りをキョロキョロと見渡して、最後に私を見ると指差した。

「三浦さんってまさかのAの事?」

「この場の他に三浦さんが居なかったら私だと思う」

周りの目が私に集められる。手を振り返せずにいると、成宮君がずんずん近付いて来て私の元にやって来た。

「無視しないでよ」

「ごめん、ちょっと驚いて」

隣で悠来が「そう見えなかったけど」と呟く。私の無表情は今に始まったことではないので仕方ない。

「Aが成宮君について調べてたのはそういう事」

悠来は少し面白くなさそうだった。目を半開きにして私を見やる。成宮君はと言うと真逆で少年の様に目をキラキラさせた。

「何?三浦さん、俺について調べてくれてたの?」

「うん。今朝偶々成宮君が野球してるの見て、女の子に囲まれてたから、1年生で同い年なのにもうあんなに人気って事は凄いのかと思って」

「聞いてくれればいいのに」

悠来がごほんと咳払いを一つして、存在感をアピールする。

「あ、彼女は友達の悠来」

「二人はどういう関係なの?」

悠来が眉根を寄せ、私と成宮君を交互に差しながら言う。

「えっと…」

どもる成宮君。私も暫し考えて、口を開く。ついて出た言葉は成宮先輩に言われた言葉だった。

「お、お世話係!」

「え?」

きょとんとした表情を悠来は浮かべる。

「お世話係なの。泊めてもらう条件みたいな」

声を落とし説明する。途端、悠来は目を見開きえっと声を荒げた。

「つまり二人はひとつ屋根のっむぐっ!」

慌てて悠来の口を塞ぐ。悠来はもがみがさせていたが「それ以上ダメ!」と言えばコクコクと首を縦に振った。

それを見て悠来の口から手を放す。

「三浦さんって仲良い友達居たんだ」

「成宮君、サラッと酷いこと言うのね」

私がそう言う横で悠来は頷く。

「でも成宮君の心配分かる。綺麗で無表情って近寄りがたい最強の組み合わせだし」

「でも三浦さんって良い子だよね」

ニイッと成宮君が笑った。悠来は「成宮君とはお友達になれそう」と言って、何故か私の背中を押す。体勢を崩すと、成宮君が私を受け止めようと腕を伸ばし庇ってくれた。

「じゃ、三限はAと違う講義だからまたね〜」

ヒラヒラ手を振り立ち去る悠来を見送って成宮君が言った。

「一緒に座る?」

聞かれて私は首を縦にひとつ振った。


.

3-5→←3-3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (52 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
84人がお気に入り
設定タグ:ダイヤのA , 成宮鳴
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:豆腐戦士 | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年11月19日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。