互いの思考は理解不能 ページ22
バンッ バンッ バンッ
部屋に銃声が響く
「相変わらず、すばしっこいな」
「貴方に褒められても嬉しくありませんね」
葉月と水無月は攻防を繰り返していた
水無月が刀で攻撃を仕掛ければ、葉月は銃で刀を受け止める
葉月が銃を撃てば、水無月は銃弾を凡て躱す
「『十二針』を裏切って…Aの元に行くのか？」
攻撃を止め、葉月はそう言った
「『十二針』……アルベールの激薬に耐え、選りすぐりの異能力を持った十二人は組織内の幹部として地位が与えられる
その証として、月の名前を与えられる…でしたっけ？」
「ああ 俺からしたら、それを捨てるお前達の思考は理解不能だ」
「そうですか」
水無月も攻撃を止める
「私も、貴方達がそこまでそのくだらない地位に執着する思考回路は理解不能ですね」
「くだらない、だと…？」
「もともと、地位や権力…そう言うものは好きじゃない
Aさんが裏切ってから、貴方達と仕事をしましたが……正直言って、詰らないんですよ
何時も何時も、貴方達はその地位を誇示するために動く…面白味も何もなかった
だから、」
「もういい
その減らず口を永遠に閉ざしてやるよ」
葉月は水無月の言葉を遮って言った
「異能力『破戒』」
青い文字列が葉月の持つ拳銃を包む
葉月は照準を定めると、引き金を引いた
「ッ！？」
ガシャン ドサッ
水無月はガスマスクが吹き飛ばされ、右の太腿と左肩を撃ち抜かれた
「(は、反応できなかった…？ 予想以上の
「フッ……痛みを
「クッ……」
葉月の言葉に水無月は唇を噛んだ
「お前のその顔が、痛みで歪むまで、可愛がってやるよ」
水無月は思う様に動かない体を無理矢理動かして、立ち上がる
「……あの日、もう二度と、Aさんの力を借りないと決めました
でも結局、私は弱いから、彼女を頼ってしまった……
だから私は」
そこで言葉を切った水無月は刀を構えた
すると、部屋中に黄色い文字列が現れ、空間を繋ぐ
「だから私は、
-----彼女に頼った身として、貴方のような雑魚に負ける訳にはいかない」
水無月は笑みを浮かべた
緑色の瞳は、真っ直ぐと葉月を射抜いている
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作者名：朱鷺の砂 x他1人 | 作成日時：2019年8月1日 22時
