[文豪ストレイドッグス(×カゲプロ)]眼は口程にモノを言う話

第２４章・緋色の欠片　１２ ページ23

こう云う時になって、何て言えば善いのか解らなくなる。



思い出せば、如何でも良い事ばかり。



けど俺に取っちゃ、どれも之も大切だった姉との日々。



颯馬は目の裏に浮かぶ、姉との日々を走馬灯のように見て居た。



辛かった思い出だってない訳じゃない。



けど、其れより今思い出されるのはもう懐かしい姉との日常。



もうあの場所には戻れない。



颯馬はふと気が付く。



俺は、何だかんだ幸せな奴だったんだな。



親とか周りにはとことん愛されなかったけど、俺には姉が居た。



俺なんかの為に涙を浮かべてくれる姉が居るんだから。



颯馬は今更になって、そんな掃いて棄てる程の、明日だってあると思って居た目の裏に浮かぶ



其の日常が本当に惜しくなった。



でも不思議で、死は怖くないのだった。



其れは今、自分を姉が看取って居るからだろうか？



窓縁で何時の間にか眠って居たり、



食事を面倒臭がって呆れて自分が作って、其れが日課になったり、



食事を作って美味しいと微笑んでくれたり、



何故か凄く器用で自分で着る用に何時の間にかパーカーを作ってたり、



朝紅茶を淹れ乍らお早うと少し笑い掛けて呉れたり、



何時もは無表情な姉が、自分達だけなら笑ってくれたり。



そう云う日常が。

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