66.ツミ ページ30
「いっただっきまーす！」
デミグラスソースに例えられた玉子焼きは
退けさせてもらって
2人で作ったナポリタンを
向かい合って食べ始めた。
「んぐ！！！」
「なんだ？毒でも入ってたか？」
「ちがっ！違います！！
美味しすぎてビックリです！！」
「はは！俺が手伝ったからじゃね？」
手伝うどころか
メインで作ってたの翔さんですよ。
しかし、これがアバズレの食べ物…
それなら私はずっとアバズレでいいです！
本当に美味しいですもん！！
あ、これはもしかして…
翔さんの味かもーーー♡
「お前は本当に嬉しそうに食べるんだな。」
「だってだって！
翔さんと初めての共同作業ですよ！」
「ふはっ！間違いねぇな。笑」
そう笑いながらフォークをクルクル回し
大きな口を開いて美味しそうに食べる翔さんも
なんだか嬉しそう。
.
ナポリタンを食べ終えて
食器を片付けていたら
翔さんが冷蔵庫でゴソゴソ。
「今日はくそ暑かったから
帰りにスイカ買ってきた。」
「わー！今年初です！！」
翔さんが取り出したのは1/8カットにされた
真っ赤なスイカ。
2人で食べるには申し分のないサイズ。
「切っといてやるから
先に風呂入ってこいよ。
出たら縁側で涼みながら食うぞ！」
「は、はい！！」
思いがけないサプライズに
単純な私は一瞬浮かれて
お風呂に入る。
翔さんといれば嫌な事だって忘れられる。
そう。
"嫌なこと"なら。
また"秘密"を作ってしまった罪悪感は
優しい翔さんに触れるたびに
ズキンと胸を痛ませる。
これはもう"嫌なこと"を通り越した罪だから。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2015年7月10日 22時
