90.ストッキング相撲 ページ19
「ホント要らないですって！」
「はぁ？
俺に恥かかせる気？
試着しといて買わないとか。
お前のくっさい足の臭いを付けて返せるわけ無いでしょ？」
「あ。そりゃそうだ。
って、酷い！！
いや、確かに臭いけど。
え？どうしよう！」
「だから大人しく買ってもらいなさいって。」
「ゔぐぐ…。」
結局、
社長に言いくるめられて
お高〜いパンプスを買って頂くことに。
「ありがとうございました。」
社長がお会計を済まし
車に戻ると待機していた相葉さんが
ニコニコしながらエンジンを掛けた。
周りはすっかり暗くなっていて
銀座の街にキラキラと明かりが灯る。
クリスマスでもないのに
お、お洒落…
本来なら私みたいな干物女には無縁の場所だわ。
そう思いながら窓の外を見てたら
社長が強引に私の顔を自分の方へ向けた。
ぐぃぃぃぃっと。
「とりあえず俺は
この後まだ仕事があるから会社に戻るけど
アナタは相葉氏に家まで送ってもらいなさいね。」
「ははー、殿。
何から何までありがとうございまするー。」
「うむ、苦しゅうない。」
来た道とは違う
もっと都会な道を走る車。
本社に向かってるんだ。
本社は品川にオフィスを構えている。
入社した時に一度だけ行った。
ドラマに出てくるような綺麗なビル。
「はーー…。
やっぱ本社ってスゴイ。」
久々に来た本社に
思わず田舎から来たおのぼりさんみたいに口を開けてビルを見上げる。
「1ヶ月後には自分の職場よ？」
「干物女には向いてないなー。」
「すぐ慣れるさ。
それより楽しみだな？オフィスラブ。」
「ああ、相葉さんの網タイツ破ったり？」
「何それ、やだよ。
相葉氏は1人でストッキング相撲でもやってろってんだ。」
「だから！なんで俺は巻き込み事故に遭うの！？」
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2016年6月5日 0時
