16.等価交換 ページ16
「あ、大野さん♡
チョコレートいります？」
「え！？
くれんの！？」
「もちろんです♡」
前に言ってたことを行動に移すトリンドル。
こういうのを肉食女子と言うんだな？
勉強になる同期だ。
いつも私があげているチョコレートの倍くらいの量を渡し
満足そうなトリンドルは
内線で総務部の江呂田部長に呼ばれ席を外した。
取り残された私たち。
「Aは？
ないの？」
「え？そんなに貰ってまだいるの？」
「あるだけ欲しい♪」
いや。
いつもなら私のデスクの引き出しにもあるんだけど
この前のねば〜るくん弁当で
お昼ご飯を食べれなかった私は
引き出しの中のチョコレートで飢えを凌いだから
在庫ゼロ。
「チョコレートはないけど…
んまい棒いる？」
なんて冗談で言ったのに…
「いるっっ！！」
「わっ！ビックリした！」
普段ゆるい感じのサトチが
食いつくように返事をした。
「え？んまい棒好きなの？
あげるあげる。
おっちゃんへの冷やかしに買ったやつだから。」
「まぁじかー！？
んははー、今日はいい日だ。」
たかだか1本10円のんまい棒たこ焼き味で
幸せそうな顔をするサトチ。
あれだ。
わんこがおやつを出されてヨダレだくだく
お目目キラキラで尻尾振ってるみたい。
やっぱり餌付けしてるみたいで
ペットにしか見えない。
失礼だけど可愛いなって思う。
ペットは癒されるものだもんね。
私、サトチに癒されてるわ。
「Aにはいつも貰ってばっかだなー。
あ、じゃあ俺からはコレをあげる。」
本日のスーツはアルマーニ。
ネクタイはエルメス。
そんな彼のスーツの胸ポケットから出されたのは
キラッキラのシルバーで出来たボールペン。
T&Co…
1837…
クリップの部分に刻印された文字を見て
女子力のない私でもわかる。
これ、ティファニーだ。
「え？
サトチこれ…
んまい棒何本買えると思ってんの？
ティファニーに謝りなよ。
いや土下座しとこ。
んまい棒とティファニーが等価交換なわけがない。」
「んん？俺も貰い物だから気にしないでー。
どうせ宝の持ち腐れ。」
私の言うことに耳を貸さず
んまい棒を見てニマニマしてるサトチ。
金持ちは何を考えてるのか分からない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3848人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2016年2月24日 22時
