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file9,奇策ヤード ページ14

「――さん、ユウキさんっ!」


誰かに呼ばれている…。

目を開こうとすると、首筋にヒヤリとしたものがあたった。

『ぎゃああああ!!?』

「よかった、起きたっす!」

飛び起きると水のペットボトルを持つ爽やかイケメン、セトがいた。

何こいつ、人の隙を狙ってくるとか…武士?

『よかったじゃねぇよ、心臓に悪ぃだろ…。』

「ユウキくんずっと寝てたしねwww」

隣ではカノが涙目になって笑っている。

酷いヤツらだ…。

「いやぁ…気絶するもんだからびっくりしたよ。」

カノのその一言で思い出した。

そうだ、俺はジェットコースターで気絶したんだ。あんなものに乗りたくなかったんだ…!!

『…そういえば人数足りなくね?シンタローとかは?』

「キサラギちゃん達は"もう一回!"って言ってまた並んでたよ。」

「シンタローさんは一人でブラブラしてくるらしいっす。」

え、なにそれ。俺置いてけぼりかよ。

「まだまだ時間もあるしねぇ。」

「せっかくの遊園地、楽しまないと損っす!」

そしてセトは輝かしい笑顔を放った。

「絶叫マシーンの特訓とかどうすか!!」

『どどどどうすかじゃねぇぇぇ!!!』

死ぬから、マジで死ぬから!!!!

「ちょ、ユウキの反応が全部シンタローくんにそっくりなんだけどwww」

『――!』

カノの言葉に、脳裏でアイツの言葉を思い出した。

…っ!

また目の奥が熱くなりだした。

あぁ、ダメだな…。

「!…ユウキさ――」

セトの声を遮って立ち上がった。

『ごめん、俺もどっか行ってくるわ!!』

「ユウキくん!?」

呼び止める声を無視して、二人を置いて俺は走り出す。

どこか、人気の無いところは…。

たまたま見つけたトイレに入り込む。

そしてサイフからカッターを取り出した。

あぁ、本当に俺はダメだなぁ…。

死にたくても死ねずに、こんなことをしてしまう。

目の前に広がる風景。


変わりなく無愛想なシンタロー。


笑顔の絶えないアイツ。

楽しかったあの日々はもう戻らない。

俺があの時、止めていられたら。

あぁ…"ごめんね"、なんて。

俺の方こそごめんじゃ済まされない。

カッターを肌に当ててグッと力を入れた。


その瞬間だった。


「――――何してるの?」

声と共に俺の腕が握られる。

驚いて振り向くと、

『か、カノ………。』

ヘラヘラと笑顔を見せていたのとは違う、いたって真剣な目をしたカノがいた。

どう考えてもそこじゃねえだろ…。→←断然マシじゃないか俺よりも



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生クリィ〜ム - ちょwwww考えていることといっていることがwww違いますよwwwwwwww (2014年7月11日 21時) (レス) id: 4489838bdb (このIDを非表示/違反報告)
稀羅(プロフ) - 生クリィ〜ムさん» あれっ女神様がいる。よし、拝もう!!((← (ありがとうございます!!!!) (2014年7月10日 23時) (携帯から) (レス) id: 0a116ef314 (このIDを非表示/違反報告)
生クリィ〜ム - 本家の方も見ています!面白すぎるのでww (2014年7月10日 22時) (レス) id: 4489838bdb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綺羅 | 作成日時:2014年7月10日 19時

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