file22,カゲロウデイズ＠シンタロー ページ10
「はぁ………。」
道中で出くわしたパーカーの女は電話を切った。
どういう風に、という経緯はまぁその……俺の恥態が晒されたとだけ言っておこう。あまり深く掘り下げる必要も無いしな、うん…。
とにかく、この人もヒビヤとヒヨリを捜しているらしい。
「どうだったんだ？」
俺が尋ねると、ため息交じりに口を開いた。
「あぁ……男の子の方は見つけたらしいが、うちのバカが逃がしたみたいだ。」
「逃がしたぁ!?捜してんだろ、なんで逃げられるんだよ？」
「よっぽど胡散臭い人だったんじゃないですか？変質者に間違えられたとか。」
「大いにあり得るな…。」
おいおい、なんだよその理由…。
「しかし偶然同じ人を捜してるヤツに会うなんてなぁ。世間は狭いっつうかなんていうか…。」
「ご主人の世間は八畳ですからね、そりゃ狭いですよ。」
ウルセェ!!
「まぁ捜してるって言っても、借りのあるヤツがその二人を捜しているんだ。」
「借りって…金ですか？」
「………お前即物的なヤツだな…。もっとこう何かあるだろ？」
即物的なヤツでホント申し訳ない……。
「あんた、これからどうするんだ？」
「俺はこれから仲間達の所に戻る。今回とは別件だが、ちょっと貴重なヤツを捕まえたってうちのバカが言ってるんでな。」
さっきからバカだの胡散臭いだの、不憫な人だなその人………。
「まぁ逃げたってことはそれほど体力もあるだろうし、あまり心配もいらねぇだろ。」
「そうか。夜も遅いから、気をつけろよ。」
「あぁ。」
背を向けて数歩歩いたところで、
「――そういえばお前、名前はなんて言うんだ？」
「俺か？」
呼び止められて振り向いた。
「俺は如月シンタローだ。」
「私はエネです！」
「シンタローにエネか、俺はキドだ。今日は色々とありがとな。」
キドはふっと笑った。
「それはこっちのセリフだ、ジュース代今度返すぜ。」
「あぁ、それじゃあな。」
そしてキドは歩きだし、闇の中へ消えていった。
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sanguine - 全部読ませていただきました。ストーリー構成や内容など上手いですね。続き楽しみにしています！ (2014年8月19日 10時) (携帯から) (
レス) id: abe28fee4e (このIDを非表示/違反報告)
ルミカ - とても面白いです！！更新頑張ってください！！ (2014年8月4日 11時) (レス) id: c5ff4717a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：綺羅 | 作成日時：2014年7月18日 11時
