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ポロポロと涙を流す伊野尾ちゃんは、ただ俺を見つめて何も言わずに立ち尽くしてる。

薔薇の花束なんて、定番すぎるかなって思ったんだけど、それでもいいから、分かりやすく、ちゃんと気持ちを伝えたかった。

もしかしたら、許してもらえないかもしれない。
もう俺のこと好きじゃないかもしれない。


「これ、いつ買ったの?」


まだ少し泣きながら伊野尾ちゃんが優しく微笑んだ。


「今日、取りに行って…予約してて」


「俺のために?」


「うん」


もらっていい?と両手を出した伊野尾ちゃんに、そっと花束を渡した。


ドラマ見たい、と花束に顔を近づけて


「夢じゃないよね?」


と俺に問いかけた。


「夢じゃないよ」


「そっか。夢じゃないんだ、、、」


伊野尾ちゃんは、そう言って、今度は顔をぐしゃぐしゃにして、声をおしころすように泣いた。





伊野尾ちゃんは、泣くのを必死に落ち着かせようとしながら


「俺も、山田のこと、好きっ…」


嬉しい…っ、と途切れ途切れに一生懸命伝えてくれた。
その姿がどうしようもなく愛しくて伊野尾ちゃんを思いっきり抱き締めた。


「いっぱい傷つけてごめん、いっぱい幸せにするからっ…」


「何で、山田も泣いてるのーっ…うぅ…っ」


大の大人が2人して泣いてるカオスな光景だけど、伊野尾ちゃんが俺をまだ好きでいくれた。それだけで涙が止まらなかった。


「花束つぶれちゃうから離れてっ…」


「また買うからもう少しこのままでいさせて」


泣き笑いしながら、苦しい〜って伊野尾ちゃんは言うけど、この幸せをまだ味わっていたいから、もう少しだけ我慢してほしい。







世界一幸せにするから、仮じゃない関係を、



はじめからもう一度。










End












拙い文章にもかかわらず、最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。

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作者名:雨のち雨 | 作成日時:2024年3月17日 23時

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