195.迷惑 ページ45
*
久々に入るAの部屋。
もちろん変わってないけど
初めて来たみたいに緊張するし
Aもソファーに「どうぞ」と案内してくれる。
「コーヒーでいいですか？」
「うん。なんか手伝おっか？」
「大丈夫です。座っててください」
昨日まで入院してたんだし心配なのは心配で
大丈夫かつい気にして見てしまう。
「どうぞ」
「ありがとう」
いつも俺用に使ってたカップで持って来てくれた。
これはちゃんと分かってるのか、たまたまなのか。
Aは隣ではなく、
テーブルを挟んで向かいに座る。
「あー……退院おめでとう」
「ふふ、ありがとうございます。昨日も来てくださって」
「体調どう？」
「帰ってきてからも特に問題ないです」
「よかった」
「あの……ちゃんとお話しておきたいことがあって」
「なに？」
Aの話したいことが何なのか大体予想はついている。
それはきっとこれからのことで、
記憶が戻らなければ忘れてくれ、と言ったAだ。
俺とは離れるつもりなんだと思う。
「まずは、色々とご迷惑おかけしてすいませんでした」
「迷惑だなんて」
「いえ、覚えていないことが多くてご不快な思いされましたよね」
「全然そんなことないって」
「……こんな状態で一緒にいてもいいのかなって思ってて」
この類の話は何度目だろう。
いつもなら「またそんなこと」って寄り添えるのに
今回は正直どうしたらいいのか分からない。
「このまま迷惑かけて、お世話になるわけにはいかないですし」
「それでもいいよ、俺は」
「でも……」
「一緒にいたいって言ったら迷惑？」
Aは下を向いてため息をつく。
もし迷惑だって言われたら、
Aの気持ちを尊重しようと思っていた。
「無理してまで一緒にいてとは言わない。嫌ならはっきり言ってくれていい。でも俺に悪いと思ってんなら、こっちはひとつも気にしてないから」
「……ごめんなさい」
「ごめんなさい」の言葉を聞いた時、
もうフラれたんだと思った。
でも、そうじゃなかった。
「ごめんなさい。玲於くん、ごめん……ごめんなさ……」
「A？」
顔を上げたAは大粒の涙を流しながら
壊れたように「ごめんなさい」しか言わなくなった。
*
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はな*(プロフ) - Miiiiさん» お話読んでいただいてありがとうございます！今後もそういったネタ挟んでいけたらな…と思っております。引き続きお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年11月16日 0時) (
レス) id: 27dc132a0b (このIDを非表示/違反報告)
Miiii(プロフ) - 一気に読みました！面白かったです！キスの予約の所ニヤケ転げました。他にも語りたいけどネタバレになるので黙ります。 (2020年11月14日 12時) (レス) id: 35755ecf0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はな* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ge_hana_/
作成日時：2020年11月12日 18時
