196.記憶 ページ46
*
「ごめんなさい……ごめ……っ」
「やめろって」
正座のまま床に頭を何度も打ちつけ始めたので
すぐにAの方へ行って腕を捕えて止めた。
「っ……」
「……話すのは落ち着いたらでいいから」
何か言いたげに口を開くけど
泣いて呼吸もうまくできていない状態で
とりあえず背中をさすってあげることしかできない。
10分ほどしてやっと落ち着いてきたのか
俯いたまま小さな声でぽつぽつと話し始めた。
「っ、もう、全部……戻ってる、記憶。……ごめんなさい……嘘、ついて」
「……なんだ、よかったじゃん」
「怒んない、の？」
「だって理由、あんでしょ？……それともなに、怒られたかった？」
「ちがっ……」
怒られると思ったのか
恐る恐るこちらを向いたAの頬を引っ張ってやった。
「ほら、ちゃんと話してくれたら怒んないから。……はは、ぶっさいく(笑)」
目が合って、Aは困ったようにやっと笑った。
涙を流しながらも笑ってくれた。
「目が覚めた時は、本当に周りが分からなかった」
一部の記憶がなくなっていたのは本当で、
俺が起きているAと病室で初めて話した時は
まだ記憶がないときだった、とAは言う。
「玲於くんが来たとき、こんなかっこいい人がわたしの彼氏でいいのかな？って思った。夢見てるのかなって……というか目覚めてからはずっと夢の中にいるみたいでこわかった」
「あの時なんか言いかけなかった？俺に」
「そうだっけ……？んー……あ、……なんでもないよ」
「今絶対思い出しただろ」
「……、したく、なっちゃって」
「なに？」
「その……顔見てたら、キス、したくなったの！初めて会った人にそんなこと言えなくて！いや、初めてじゃないんだけど」
「記憶なくなっても考えてること変わんないのな(笑)」
「ね、そう。やっぱり好きになっちゃうんだなって」
こうやって話してくれるのは久しぶりで
記憶戻っててくれてよかったし
ずっと気にしてたけど、もし戻ってなくても
きっとまた好きでいてもらえてたと思うと純粋に嬉しい。
「で、なんで記憶戻ったこと隠してたの？」
「全部思い出して……このまま誰とも関わらないで生きていこうと思ったから。これ以上周りの人を巻き込みたくなくて」
「巻き込むって何？」
*
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はな*(プロフ) - Miiiiさん» お話読んでいただいてありがとうございます！今後もそういったネタ挟んでいけたらな…と思っております。引き続きお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年11月16日 0時) (
レス) id: 27dc132a0b (このIDを非表示/違反報告)
Miiii(プロフ) - 一気に読みました！面白かったです！キスの予約の所ニヤケ転げました。他にも語りたいけどネタバレになるので黙ります。 (2020年11月14日 12時) (レス) id: 35755ecf0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はな* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ge_hana_/
作成日時：2020年11月12日 18時
