スターチスの花束【白石蔵ノ介/忍足謙也】

◆１５◆ ページ16

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｢もしもし光くん？｣



｢あ、やっと出ましたね。何回電話かけたと思っとるんですか。Aさんも謙也さんも。｣



｢ご、ごめんなあ。それよりどないしたん？｣



｢白石部長。｣



その言葉に、Aは思わず言葉をつまらす。



ばれてしまったかと諦め、Aは再び携帯に向かって口を開いた。



｢……堪忍な。｣



｢堪忍なやないっすわ。なんなんですかあれ。｣



｢一種の記憶喪失みたいなもんなんやて。そのうち治るらしいんやけど……｣



｢せやからってなんで俺らに黙ったままにしようとしたんですか。ほんまあほっすわ。｣



｢だ、だって、どうしても金ちゃんだけには知られとうなくて……もしかして、金ちゃんにもばれてもた？｣



｢なんとかばれてません。……さっさと帰ってきてください。｣



｢わかったわかった。……ふふ、光くんも心配なんやね、蔵のこと。｣



｢うっさいっすわ。｣



(かーわええなあ……)



｢あ、謙也おるけど。代わろか？｣



｢ええっすわ。じゃ。｣



｢あ、光く……あーあ、切れてもた……｣



Aはやれやれと携帯を下ろすと、ケンヤト侑士の元へと歩いていった。

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