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坂本が帰った後は静まり返ったように会議室は静かになる。
ガキはまた子の腕に抱えられ、坂本が居なくて不安なのかキョロキョロと顔を忙しなく動かしていた。
『……第一どこで世話すりゃいい』
『晋助の家に決まっているでござる』
『確かあのマンションはペット可だったでござろう?』
『お前ガキを犬猫と一緒にしてんじゃねェよ』
もう一度長嘆息を吐いた俺はチラリと横目にガキを映す。俺の視線に気付いたそいつは肩を跳ねさせ、また子に擦り寄った。
しかしまた子がこれから俺の家に世話になると教えると、その腕から降りてゆっくりと俺の元へ歩み寄ってくる。
『……よろしく、おねがいします』
ぺこりと下げた頭。やけに躾のなったガキだと思った。
顔を上げた時に見えた瞳が一枚膜を貼られたように光がなく、それを見た時には何故だかもう仕方ないといった感情が出ているではないか。
しかしガキに良いように翻弄されるわけにはいかず、頭を冷やそうと煙草を口に咥える。
『……おい、何すんだ』
しかしその煙草は火をつける前に呆気なく万斉に取られ、ついでに箱もジッポも取り上げられてしまった。
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えりんぎ※息を吸う(プロフ) - 昔の自分と比べてしまいました。あなたの作品がとても好きです。この作品に出会えたこと、心から感謝しています。涙を拭きながら、読み進めようと思います。 (2019年1月27日 16時) (レス) id: 5e55bdde31 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - こんにちは、コメント読んでいただけているかどうか…でも、もしよんでくださるなら。わたしは、ハルさんの作品に心底惚れています。自分の書きたいものをえがくことって素晴らしいと思うんですよね!だから、周りの意見に惑わされず「ハルさんの作品」を待ってます (2018年5月2日 0時) (レス) id: a53110be97 (このIDを非表示/違反報告)
kaya(プロフ) - 今更...な感じがしますけど、コメント失礼します。私、この作品読みながらずっと泣いちゃってました。素晴らしい作品だと思います。何回読んでも飽きないですね!感動しました。 (2018年4月2日 22時) (レス) id: 504932b45f (このIDを非表示/違反報告)
ハル@六月に一時帰還予定(プロフ) - みなさんコメントありがとうございます〜( ; ; ) お一人お一人にご返信をしたいのですが、下の方のコメントが消えてしまいそうなので割愛させていただきます( ; ; )無念……。沢山の励ましのコメントを胸にこれからも頑張って行きますので、応援お願いします!! (2018年2月1日 17時) (レス) id: 9ebc1e1d82 (このIDを非表示/違反報告)
クローバー - 心に響きました。恋愛要素など無くとも、人を感動させられる小説は素晴らしいと思います。これからも頑張ってください。応援しています! (2018年1月12日 20時) (レス) id: acfcc66616 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年10月6日 18時