☆153 ページ18
「息、とめてたの？」
「はあ、っは……しかたな、だって…はじめて……」
「そっか、ファーストキスも俺やったもんね」
「そおやって、ばかにして…」
「あは、舌足らず！」
「ばか！」
「ふふ、あんね？えっろいキスするときは鼻で息するの」
「……っ！え、…え！…ろいとか…！！」
「こういうの」
噛みつかれるみたいに合わさって、
逃げてもすぐ舌を絡め取られて、反射的に頭を引こうとしたら、
両手で頭を押さえられた。
う、やだ。
くるしい。
「……んッ、………や、…」
ほら、声が出ちゃう。
それにやっぱり息も上手くできない。
もうやだ！
なのにショウさんはやめてくれなくて、
思考がどんどん溶かされてく。
思わず目を開けたら、
ショウさんも目を開けてて。
いつから、みてたの。
ドロドロになりかけた頭が、急に自我を取り戻す。
精一杯押し返して、
キスが途切れる。
「ひど……！っ、は、…いつからみて！」
「かわい」
反論しようとした声が詰まる。
ショウさんも、こんなこと言うんだ………
3年間も一緒にいたのに、
今日は知らないショウさんばかりで困る。
何気なく手の甲で口を拭う仕草がやけに大人びて見えて、
その拭った手に微かにうつった赤い口紅は、私がしていたものだとわかったとき
キスをしたという感覚が波打ってくる。
ジャケットを脱いで、ネクタイをシュッと取るショウさんを、途中から見ていられなくなった。
「……まって、ショウさん…」
「…んー？」
「まって………」
「なにが」
「あのだから、…ひゃっ！」
ドンと頭の横に手をつかれて、組み敷かれる。
私を見下ろす端正な顔。
それに、いつもと違う髪型のせいか、色っぽく見えて。
顔を背ける。
「むり…やめてくださ……」
「だからなにが」
「…そういうこと、する、の？」
「いや？」
「むりです」
「いやじゃなくて？」
「むりです！」
「…怖い？」
少しの間が気になって、顔を見上げる。
優しい顔。
ずるいなあ、と思った。
「……はずかしい…」
「それから？」
「……ちょっと怖い…」
「やんなあ」
「…私、はじめて…だから……」
「知ってる。うれしい。」
ちゅっ、て額にキスされて、
もうどうしていいかわからない。
余裕そうなショウさんが、いやになる。
「俺にまかせとけばええから」
「……やだ、ねえ、ショウさん…」
「全部、みせて」
こんなの、おかしい。
強引すぎる。
…だけど、優しくて。ずるい。
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れー。 - トラウマになりそうなほどに切なく物語を思い出すだけで胸が締め付けられます。こんなに感情が動いた作品は今まで読んできた小説で圧倒的に一番です。映画やドラマにしてほしいほどこの小説に惹かれてしまいました。大好きな作品です！ (2018年6月27日 10時) (
レス) id: 4792958e4f (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 一番好きな作品です！！もう、10回ぐらいは読み返しました笑 定期的に見たくなります！ (2018年4月1日 0時) (レス) id: 7fb9479a8f (このIDを非表示/違反報告)
夏 - あー、頭がどうにも可笑しくなりそうです笑この作品を見ると、生まれた場所の東京と今居る田舎の県と、交わって感情移入がしやすいです。教えてくれたあの子に感謝。 (2017年1月21日 8時) (レス) id: ec0b94023c (このIDを非表示/違反報告)
むむ(プロフ) - この作品が占ﾂｸで一番好きです！いきものがかりさんのラストシーンにぴったりでこの曲をきくとこの作品を思い出してなきそうになります。お勉強頑張って下さい！ (2017年1月18日 20時) (レス) id: 092114e7d9 (このIDを非表示/違反報告)
なっぴぴ(プロフ) - 更新されててすごいびっくりしました！ほんとにうらつくの中で1番好きな作品です>_< (2017年1月18日 13時) (レス) id: d6fe05cabb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆい☆
| 作成日時：2015年12月29日 10時
