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其ノ伍拾 ページ7

Aside

「梶井〜!失礼するよ。」

「失礼する。」

梶井の実験室に入ると、

「うはっ、うははっ、うはははは……」

梶井が何時もの気持ち悪い笑い声を響かせていた。

「あれが、梶井基次郎ね。
丸善ビル爆破事件の犯人って云えば判るかな?」

「嗚呼……何故、彼奴は笑っているんだ?」

「多分……爆弾か、新薬か、檸檬。」

涙くんは、檸檬が腑に落ちなかったようで、何度も、

「檸檬?……檸檬?」

と繰り返していた。

そんな可愛い涙くんを眺めていた時、

「おやぁ?」

漸く梶井が此方に気付いた。

「これは、これは……如何かなさいましたか?」

「久しぶりだね、梶井。
彼の紹介と、ちょっとした仕事。」

梶井は仕事と聞いて、口角をぐっと上げた。

「ならば、丁度新しい薬がありますよ。
あ、それとも檸檬の方?」

「っと、その前に彼の紹介。」

私は、軽く涙くんの背中を押す。

「Aの部下になった、黒岩涙香だ。宜しく頼む。」

「ほぉ〜!A殿の部下!」

梶井が涙くんをじっくりと観察する。

それを見て、危機感を覚えた私は、涙くんを下がらせた。

「梶井みたいな奴に宜しくする必要はないよ。
それより、仕事の話していい?
アンタだけは、そっちがメインだから。」

一瞬だけ落胆した梶井は、仕事と聞いた時には生き返っていた。

……忙しい奴だなぁ。

「今回は爆破の方。
標的は、武装探偵社……と云うか、人虎。
人虎については知ってるでしょ?」

「ええ、一応。」

「なら、話は早い。
彼が乗車する列車を爆破してほしいの。
あ、と云っても、先頭車両と最後尾車両だけね。
詳しくは、私が当日、指示出しする。
質問は受け付けないから、資料読み込んで。」

梶井に資料を手渡す。

「あっ、それと、今回はアンタだけじゃないから。
泉鏡花ちゃんって云う、姐さんのお気に入り……
彼女が一緒だってことを頭にいれておいてね。
実行は明日の予定だから、準備して。勿論、今すぐ。」

ちらりと視線を向けると、梶井は資料を熟読していた。

普段イカれた奴なのに、こういう時は案外きちんとしてるんだよなぁ。

「却説、邪魔しちゃ悪いから、行こうか。
あれ読み終わったら、檸檬爆弾作るんだろうし。」

「檸檬爆弾?」

「ん、そう。後で教えてあげるよ。」

梶井の異能力について説明しながら、私達は部屋を出た。

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舞花 ひめ(プロフ) - るぅとさん» 有難う御座います!そう云って頂けると私も頑張れます!これからも応援、宜しくお願い致します。 (2019年8月22日 7時) (レス) id: 6d7eb9b273 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと(プロフ) - 更新お疲れ様です!! ご自分のペースでいいので頑張ってくださいっ (2019年8月18日 22時) (レス) id: 4ba8ceef5d (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - いずなさん» 有難う御座います!楽しみにして下さってる皆様の為にも、引き続き頑張って行きますので、これからも宜しく御願い致します。 (2019年7月8日 6時) (レス) id: 052a536090 (このIDを非表示/違反報告)
いずな - この物語面白いです!忙しいと思いますが更新頑張ってください!続き楽しみに待っています (2019年7月6日 2時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!更新頻度が落ちないよう努力していくので、これからも応援、宜しく御願い致します。 (2019年6月1日 18時) (レス) id: 90e19b9523 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年6月1日 8時

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