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其ノ玖拾弐 ページ49

Noside

「それでは私達は失礼するよ。」

「先程はアドバイス、有難う御座いました。
そう云えばお医者さんなのですか?」

「元医者だよ。
今は小さな寄合の仕切り屋中年さ。」

「小さな寄合……ねぇ。」

「……少年、どんな困難な戦局でも必ず論理的な最適解はある。
混乱してヤケになりそうな時ほど、それを忘れてはいけないよ。」

「はい!」

「それでは……」

白衣の男達が立ち去る中、白パーカーの少女だけが敦達の方を見て立ち止まっている。

「少年。」

「?」

「……その少女、守りきりなよ。」

「?……は、はい。」

「夏樹君、行くよ。」

「あっ、はい。それじゃあ、またね。」

立ち去る四人の背を見送る敦。

「困難な時でも道はある、か……」

四人が立ち去った後、その場に崩れ落ちる鏡花。

敦は鏡花の異変に気付き、声をかける。

「鏡花ちゃん?どうしたの?」

しゃがみ込んでいる鏡花の顔は恐怖で強張り、その身体は震えていた。

「鏡花ちゃん?鏡花ちゃん?」


三人を伴い、路地裏を歩く白衣の男……森鴎外。

「楽しい一時だった……
私も童心に返って、異能力で敵をばっさばさと遣っ付けたくなったよ。」

「中年には無理。」

「首領には無理でしょうね。」

「Aが無理だと云うのなら、無理なんだろう。」

「皆、ひどーい。私はこれでも──」

路地裏を抜けた先には組合の一員、ジェームズの惨殺された姿があった。

それを取り囲んでいるのは、ポートマフィアの構成員と、黒蜥蜴、梶井、そして中也。

「涙くん、後は頼んだよ。」

涙香の肩を軽く叩いて、そう呟いたAは、静かに影と同化した。

「嗚呼。」

小さく頷いた涙香は、森の後を追う。

その場にいた全員が一斉に片膝をつき、現れた森に敬意を表した。

「くっくっくっく……これが組合の刺客かね?」

死体など気にも留めず、森は歩いて行く。

涙香は、死体に顔を少し歪ませながらも森の後を追った。

「はい。」

中也が跪いたまま答える。

「探偵社に組合、我々も又困難な戦局と云う訳だ。
最適解が必要だね。探偵社も組合も……
敵対者は徹底的に潰して……殺す。」

あとがき→←其ノ玖拾壱



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舞花 ひめ(プロフ) - るぅとさん» 有難う御座います!そう云って頂けると私も頑張れます!これからも応援、宜しくお願い致します。 (2019年8月22日 7時) (レス) id: 6d7eb9b273 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと(プロフ) - 更新お疲れ様です!! ご自分のペースでいいので頑張ってくださいっ (2019年8月18日 22時) (レス) id: 4ba8ceef5d (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - いずなさん» 有難う御座います!楽しみにして下さってる皆様の為にも、引き続き頑張って行きますので、これからも宜しく御願い致します。 (2019年7月8日 6時) (レス) id: 052a536090 (このIDを非表示/違反報告)
いずな - この物語面白いです!忙しいと思いますが更新頑張ってください!続き楽しみに待っています (2019年7月6日 2時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!更新頻度が落ちないよう努力していくので、これからも応援、宜しく御願い致します。 (2019年6月1日 18時) (レス) id: 90e19b9523 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年6月1日 8時

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