其ノ陸拾伍 ページ22
Noside
薄暗いコンテナの床に、力なく倒れている敦。
深く重いエンジン音が響いているコンテナの金属扉で開き、陽光が差し込む。
見れば、鏡花が扉を開けたのだった。
「来て。」
「(ひょっとして……僕を助けに？)」
倒れ込んでいた身体でなんとか起き上がろうとすると、行成、扉の向こうから黒い羅生門が現れ、敦の足首を捕えた。
「！？」
敦の身体は、羅生門によりコンテナの外に強引に引き寄せられる。
そして、その勢いのまま、外の壁面に叩きつけられる。
「ぐあっ！」
「殺す積りで刺したが……
不完全乍らも虎の治癒力が資されているか。」
「此処は……海？」
「密輸船だ。武器弾薬の類を運ぶ。
今日は貴様の為に貸切りだが……
引渡しまで数刻もない。
人生最後の船旅を楽しめ、人虎。」
倒された敦の胸を踏みつける芥川。
その脚を敦は掴む。
「断……る……」
その手を羅生門で縛り上げた芥川は、さらに強く敦を踏みつける。
「ぐ……がっ……！」
「貴様の意志など知らぬ。
弱者に身の振りを決める権力など無い。」
「(こいつと戦っても勝てる訳ない……！
隙を見つけて逃げないと……
探偵社の助けが来るまで、何処かに隠れられれば……)」
「弱者は死ね。」
「？」
「死んで他者に道を譲れ。」
「(何だ？これは……敵意？)」
「……外の世界に触れて心が動いたか？」
芥川は、ゆっくりと振り返る。
「鏡花。」
鏡花は、芥川に向けて拳銃を向けていた。
「彼を逃して。」
羅生門の一閃が、鏡花の拳銃を鋭く二つに切り裂く。
「！」
次の瞬間、芥川は鏡花の首を掴み、その身体を持ち上げる。
「……ッ！」
「�爐匹鹹讚瓩鮹里辰討い襪�？」
「かは……っ」
「其処は光の差さぬ無間の深淵だ。
有るのは汚泥、腐臭、自己憐憫……
遥か上方の穴から時折人が覗き込むが、誰もお前に気付かない。
ひと呼吸毎に惨めさが肺を灼く……
外でお前を待つのはそれだ、鏡花。
『夜叉白雪』は殺戮の権化……
そんなお前がポートマフィアの外で普通に生きると？
人虎、教えてやるがいい。
誰にも貢献せず、誰にも頼られず、泥虫のように怯え隠れて生きるのが如何いう事か……」
「……っ」
「殺しを続けろ、鏡花。
マフィアの一員として……でなければ呼吸するな。
無価値な人間に、呼吸する権利は無い。」
「……そうかもしれない……でも……
クレープ、おいしかった。」
「……！」
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舞花 ひめ(プロフ) - るぅとさん» 有難う御座います！そう云って頂けると私も頑張れます！これからも応援、宜しくお願い致します。 (2019年8月22日 7時) (
レス) id: 6d7eb9b273 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと(プロフ) - 更新お疲れ様です！！ ご自分のペースでいいので頑張ってくださいっ (2019年8月18日 22時) (レス) id: 4ba8ceef5d (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - いずなさん» 有難う御座います！楽しみにして下さってる皆様の為にも、引き続き頑張って行きますので、これからも宜しく御願い致します。 (2019年7月8日 6時) (レス) id: 052a536090 (このIDを非表示/違反報告)
いずな - この物語面白いです！忙しいと思いますが更新頑張ってください！続き楽しみに待っています (2019年7月6日 2時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います！更新頻度が落ちないよう努力していくので、これからも応援、宜しく御願い致します。 (2019年6月1日 18時) (レス) id: 90e19b9523 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：舞花 ひめ | 作成日時：2019年6月1日 8時
