【ジョジョ4部】蠱惑的インクルージョン (ページ11)

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「それから、本体を襲うスタンドのからくりだが。仗助、体の調子はどうだ」
「へ？…言われてみりゃあ、もう何ともねーっスけど」
「おそらくこのスタンドの能力は『眠り』。針で刺した相手を眠らせる。指先の針だともっと繊細に感覚を操れるんだろう。本体に能力を使おうとするのは、無意識の防衛反応なんだろうぜ。眠らせることで、本体を脅かすものから守ろうとしてたってわけだ。矢に射抜かれた記憶や、スタンドを捉える視覚なんかをな。さっきから暴れてんのは、恐怖心を眠らせちまおうってところか」
「グレート…今はちゃんとスタンドが見えてんのは、本体に触らせないようにしてしばらく経つからなんスね」
「ああ。自分の記憶まで眠らされたら、事情聴取にならねぇからな」

Aは思わず自分の首を摩った。
あの刺々しいスタンドは、Aを攻撃しようとしているのではなく、守ろうとしているのか。

おずおずと見上げると、拘束の必要がないくらい大人しくなったそれと目が合った。
冷徹としか感じられなかった瞳が、今は少し違って見える。

すると、今まで仗助相手に話しているようだった承太郎が、すっと視線を合わせてきた。

「見つけたのが仗助で命拾いしたな。他のスタンド使い相手なら、気絶させる前に殺されていてもおかしくなかった」
「ちょっ、承太郎さん、脅かすようなこと言わねェでくださいよ！ああほら、またスタンドが暴れて…！」
「俺は事実を言ったまでだぜ。運が良かったってな。スタンドが発現してから永続的に力を使ってるんだろうが、目覚めちまったものはどうしようもない。スタンドをコントロールすることが、今君にできる最大の防御だ」

どうやらスタンド使いとは全員が全員、善良とは限らないようで、『スタンドが見える』人間が邪魔な者も一定数いるらしい。
要は必要に迫られたとき以外は具現化しないようにということなのだろうが、じたばたともがくのをやめさせることすらAには難しく、一体どうしたらいいのか分からない。

「そういやァ名前、何ての？」
「え…？」
「スタンドの名前。それがあれば、ちこっとは扱いやすくなるんじゃあないっスかね」

Aの困惑を知ってか知らずか、仗助が不意にそんなことを言った。

自己紹介をするように教えられたことには、彼の淡い色をしたスタンドは『クレイジー・ダイヤモンド』。神話にでも出てきそうな出で立ちのスタンドは、承太郎の『スタープラチナ』。