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感覚を確かめる。
左足を思いっきり振り下ろす。
「また取れるよ」
「縁起でもないこと言わないで」
イトリさんに脅されて顔が引きつる。
あれからまた1週間。
指の先まで元通りになった左足。
「綺麗に復活したわね」
「ニコ姐も復活するじゃん。元が綺麗じゃないけど」
「ぶっ飛ばすわよ」
軽口を叩いて笑う。
ここにいるのも今日まで。もう治ったから。
イトリさんとニコ姐を振り返る。
「……ありがと。迷惑かけたね」
「いーのいーの」
「そうよ」
新しいマスクももう貰った。
狼は同じで、色は黒から明るい灰色に。
Aさんのイメージだよ、と言われてウタさんから渡された。
「……A」
イトリさんに呼ばれて顔を上げる。
「…あたしたちと一緒にいる気はない?」
「……そうしたいのは山々だけど」
そう前置きして言う。
「待ってる人がいるから」
「……そうね」
帰らなきゃ。待ってくれてるんだから。
ドアを開ける。
強い光に目が眩んだ。
「……じゃ、もう行くね。ありがと」
「またおいで」
「うん」
二人に手を振って歩く。
帰ろう。
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「狼の子供はやっぱり狼ね」
ニコがそう呟く。
「あーあ、黒さーん。あなたの子供はあなたと違う道を行くみたいでーす」
「Aが仲間にでもなると思ったの?」
「……ううん、思わない」
かつて共に過ごしたAの父親を想う。
ピエロだった男を。
「ま、全部お父さんと一緒じゃつまんないもんね」
「そうよ。同じレールを歩くのは散々」
「これからAはどうなっていくのかねぇ……」
イトリの問いに答える者は、いない。
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あつき(プロフ) - nanoさん» ありがとうございます…!これからもお付き合いのほどよろしくお願い致します。 (2014年11月23日 23時) (レス) id: e41d28bd72 (このIDを非表示/違反報告)
nano(プロフ) - 飽きてなどいません。続き楽しみにしてます! (2014年11月23日 23時) (レス) id: 3d9ff45680 (このIDを非表示/違反報告)
あつき(プロフ) - リンさん» ひえええ、有難うございます!!日々妄想してるのでネタは尽きません…! (2014年11月23日 21時) (レス) id: 988ea2a69c (このIDを非表示/違反報告)
リン - 面白いです!ネタが尽きないのが凄いです。これからも頑張って下さい(`∞´) (2014年11月23日 19時) (レス) id: 0161c05280 (このIDを非表示/違反報告)
あつき(プロフ) - なぎさん» ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2014年11月17日 17時) (レス) id: e41d28bd72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あつき | 作成日時:2014年10月28日 16時